柒時間目「他界他界!」 ページ18
『ふぅ……』
夕日が差し込む教室で、私は机の前でぐーんと伸びをした。今日の復習はこれで終わりだ。
最近は、眠くて眠くて仕方がない。例の夢からしばらく経つけれど、やはり体は弱ってきているようだった。とりあえず昨日、例の祠に行ったけれど……もし行かなかったらどうなるんだろう。
できるだけ夜にたくさん眠るようにしているけれど、厳しい訓練をした日とかはより疲れてしまう。眩暈も、そういう時に頻繁に起こるようだった。
『参ったなぁ、これじゃあみんなに心配されちゃう』
半年後にはぴんぴんしているのに、余計な心配をかけて不安な顔をさせたくない。みんなの中の私は、明るくて元気なままでいたい。
小平太「三之助ー!」
何やら大きな声がして、窓際に誰かが飛び乗った。
小平太「あれ、三年ろ組は隣だったか」
『六年ろ組、七松小平太先輩?』
え、どっから来たん? ここ3階ぞ。
七松先輩はよっ、と教室内に降り立つと、私に向かって首を傾げた。
小平太「三之助を知らないか? 委員会で用があるんだが」
『三年ろ組は授業で外にいるので、恐らく明日の午後には帰る、かと……』
突然先輩がずいっと近づいてきたので、私の言葉は途切れ途切れになった。
小平太「なぁ、お前やけに顔色が悪くないか?」
『そ、そんなことないですよ。いたって健康ですし』
いつも一緒にいる三年生にすら見抜かれていなかったのに六年生の観察眼って怖い。私はへらへらと笑いながら取り繕う。
小平太「そうか?」
先輩は考えるような仕草をした後、ポンっと手を叩いた。
小平太「よし、元気が出るように高い高いをしてやろう!」
……何て?
小平太「うちの一年生もこれをしてやると泣いて喜ぶんだ!」
『あの、え、ちょ』
人間離れした運動神経だと聞く七松先輩。そんな人の高い高いなんて……死んでしまう。
待って、病気以外で死ぬとか聞いてない。
腰をがっしりと掴まれた。女の子の尊厳is どこ。
そして先輩は入ってきた窓の方へと私を掴んで歩いていく。
『まさか』
小平太「いっくぞー! それ!」
『ぎゃぁぁぁぁぁぁ!』
次の瞬間、私は勢いよく窓から外へ放り投げられたのでした。悲鳴とともに、私の体は空高く飛んでいく。そして、一瞬、止まった。
勢いよく落下していく体。内臓が浮くような感覚に、最早叫ぶことすらできない。
小平太「ほい」
勢いよく先輩の腕に収まる。私はすっかり目を回していた。
……神様、私、今までで一番天国に近づきましたよ。
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おんぷ - 続き見たいです (2月4日 20時) (レス) id: e0221025e3 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖水 - 黒糖さまでーすさん» 同じく (2023年4月1日 2時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖水 - 終わってるんですか、残念です (2023年4月1日 2時) (レス) @page21 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - なんで終わってるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ((((泣 (2023年3月14日 22時) (レス) @page21 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さんでーす - 更新頑張って下さい。続きが気になります (2023年3月2日 18時) (レス) @page21 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむー | 作成日時:2022年8月7日 22時