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クリスマスの一日【福添准・不破諫】 ページ31

福添准にまんまと攻められてしまったあの後。わたしは化粧室で自身の首に付けられた赤い印を見て愕然とした。なるほど、あの感触はそういう……。しかしこれで分かったのは、やはり彼はわたしのことが嫌いな訳ではないということだ。嫌いだったらわざわざあんなことはしないだろう。なのにわたしとの関係を変える気は一切無いらしく。都合のいい女扱いされているのかとも考えたが、それなら彼があれ以上手を出してこないことに疑問が残る。しかしその癖キスマークを付けるだなんて独占欲丸出しみたいなことをするし。あぁ、もう、本当に何を考えているのかがわからない。イラつきながらもキスマークが隠れるように、剥がした絆創膏を新しい物に取り替え貼り直し。その痕を絆創膏越しに撫でる。

「ずっと消えなければいいのに」

自然治癒力の高い体だ。早ければ今日か明日には完全に消えてしまうのだろうけど。

 世の中はクリスマスムード一色である。秘書課でも心なしかいつもより定時で帰ろうとするムードが出来上がっており、皆一様に張り切って仕事に励んでいるみたいだ。わたしはというと、特に予定があるわけではない為いつもと変わらず仕事をこなすだけだが。

「やだ、稲荷さんどうしたの?その首」

上司に早速痛いところを突かれ、動揺し思わず咳き込む。

「く、首?あぁ、これですね。昨夜野良猫に引っかかれてしまって」
「野良猫ねぇ……。ちゃんと消毒したの?野良は雑菌多いんだからしっかり消毒しないと駄目よ」
「大丈夫です。ちゃんとやりましたから」
「あ、そうそう。ところで今夜はなにか予定あるの?」
「いえ、寂しい独り身ですから」
「本当?美人なのに意外ね。もう、福添さんにばかり感けているからよ。よく社内でも仲良さげに話してたあの人はどうなの?えーと、ヒューマギア特別対策なんとかの機関の人」
「不破捜査官のことですか?そういえば最近見ませんね……。まぁ二人とも忙しい人ですから。クリスマスにデートなんて出来ないでしょう」

上司は「そういうものなのねぇ」と納得したやらしていないやら、ふわっとした語尾で話を終わらせる。この人はいつもこうだ。頼みごとがあると世間話から入る。そしてこの話の切り替わりの瞬間、面倒事を頼みに来るのだ。今日は恐らく残業の打診だろう。まぁ、予定もないし別にいいのだけれど。

「ちょっと相談があるんだけど、いいかな?ほら、今日は皆早く帰りたがってるでしょ?わたしも家族が待ってるし……」

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Shirome - あなたの書いた福添さんが見たいです! (2022年8月2日 4時) (レス) @page36 id: 57feb98294 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サインバルタ | 作成日時:2019年11月10日 5時

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