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「なんとかして社長の座を奪い舵を取り直す。それだけだ。私は別に権力を持ちたいという理由だけで社長の椅子が欲しいわけじゃない」

知っている。彼が如何にどれ程先代社長を尊敬していたかも、この会社にどれほどのプライドをかけているのかも。それでもわたしは最近思ってしまうのだ。この会社を思うなら、福添には一歩引いてほしいと。まだ社長のことを認めたわけではないけれど、現実問題。先代の遺言通り戦うことができるのは或人社長しかいないからだ。状況が違えば福添を推したいのは山々だが。

「やはり!!一刻も早くあの社長を解任させるしかないのでは!?社長に相応しいのは福添副社長、貴方なんですよ絶対に!他の重役達も言っています。今緊急取締役会議で社長の解任を持ち掛ければ、満場一致で解任の方向にもっていくことができるでしょう!」

山下専務がそう力強く言いながら勢い良く立ち上がる。いやいや、この人今の状況がわからないのか?福添が社長になってしまったら、彼が社長という立場の者しか使えないあのベルトで変身して滅亡迅雷と戦わねばならないことになるわけで。そんな危険なことを彼にさせるわけにはいかないし。っていうか、出来ないだろうし。まさか福添もこんな馬鹿な提案に乗るなんてことは……。

「……!あ、あぁ、そうだよな……!」

駄目だこの人達。シェスタもシェスタで、見てないで少しくらいは止めてほしいのだが……。ツッコミ不在の恐怖とは正にこのこと。わたしは仕方なげに「やめたほうがいいと思うけどなぁ」と口に出したが、盛り上がっている福添と山下の二人には聞こえていないようだった。

「しーらない……」

そもそも専務の「満場一致で解任」という言葉自体疑わしいものがあるし。様々な部署や重役と絡むことが多いわたしでもそんな話は一度も聞いたこと無い。まぁ多数決で負けて社長の座奪還ならずということになれば、また福添が泣きついてきてくれるかもしれないからこのままにしておこう。


──────────


 「イズが攻撃された」「滅亡迅雷の司令塔である滅が破壊された」そんなニュースが飛電インテリジェンス内に飛び交う中、稲荷リコは今日も今日とて忙しく動き回っている。イズが攻撃されたと聞いた時は、流石に気にならないわけもなくあまり仕事が手につかなかった彼女だが、彼女自身はそんな気になってしまっている自分を認めようとはしなかった。

・→←反転【福添准】



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Shirome - あなたの書いた福添さんが見たいです! (2022年8月2日 4時) (レス) @page36 id: 57feb98294 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サインバルタ | 作成日時:2019年11月10日 5時

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