姉妹の事情【お相手：リヴァイ】前編 (ページ10)

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第10話ページ10

その夜。

乾杯の合図とともに歓迎親睦会は始まった。
それぞれ班ごとに固まって席に着く。

ペトラは毎回雰囲気でリヴァイの隣に座っていた。
といっても班員は4人なので自然な確率ではある。
リヴァイ大好きなオルオは常に食べ物や飲み物をリヴァイに勧めて、それが鬱陶しくなる頃合いにペトラが仲裁に入るといういつもの流れだ。

「じゃ、俺は新兵とやらに挨拶にいってくるか」
そういってエルドがジョッキ片手に立ち上がるのもいつもの流れだ。

エルドは人と必要以上に関わらないリヴァイに代わって、新人や新兵に顔出しに行く、いわば広報担当だった。
兄貴肌で顔も良い彼は適任だ。

「なぁペトラ。お前の妹さんどこに座ってるんだ？」
エルドに聞かれて食堂内を見回す。

「ハンジさんの班なので目立つと…あ、あそこに」

いつも飲み会の席では、ハンジの班が悪目立ちするのですぐに分かった。
ハンジが大声で巨人談義を繰り広げ、周りはげんなりとする為、その落差での悪目立ちだ。
ようこそ！と叫びながら疲れた顔のAに腕を回して語りこんでいる。
「いってこよう」
そういってエルドは席を立った。

エルドはハンジに近づくとその手をAからどけて、自然と彼女に乾杯をして笑いかけ隣に座り、周りの兵士にもなにやら話しかけた。
すると全員大笑いをする。
「その反応がさっきまでと違うじゃないか！」とハンジが抗議をして何やら会話に進展があったようだ。

「エルドって凄いよな、あのコミュニケーション能力。まさに広報担当って感じだな」
グンタが満足げに頷いた。
「にしても似てねえ姉妹だな」
オルオが蒸し返す。
「なんつーか見てると天真爛漫で、ペトラとは正反対というか」
「昔からよく言われるわ。まぁでも壁外に出るにつれて変わっていくんじゃない？」

でもペトラの方が昔から運動神経はよかった。
それでも自分は訓練兵卒業時、10位以内には入れなかった。
(昔から要領がよくて人懐こくて。でもそれが本人からしたら自然だから恵まれてることに気づいてないのよね)
「ほんとズルイ」
小さくつぶやいたが、それは飲み会の喧騒に消えた。

オルオやグンタと話をしていたら、気づけばエルドが席に戻っていた。
そしてふとリヴァイがいないことに気づく。
探していることが悟られないようにさりげなく見回すと、リヴァイはハンジの班にいた。