第6話 ページ6
その日、ペトラは割烹着を着て、大きなマスクをしていた。
リヴァイに命じられて着こむお掃除ルックだが、兵団の中でこんな格好になるのは彼らだけだった。
皆、内心(あそこまで着るか?)と思っていたが、何も言わないのが暗黙の了解となっている。
毎日1人ずつ当番制でどこかしらの掃除を命じられるリヴァイ班は、このいで立ちで掃除を行う。
「今日は旧兵舎の廊下を掃除しろ。夜に新兵の親睦会があるからな。15時まででいい」
廊下でそう告げたリヴァイは何か足りないことに気づく。
「…そうか、何か足りねえと思ったら、袖がずり落ちてこないためのアームバンドがねえな」
更に激ダサグッズを増やす予定のリヴァイはそれを取りに行くといって去っていった。
「あ、ペトラ!何してん、の?」
リヴァイを待つペトラをAが見つけて駆け寄ってきた。
そして顎に手を当ててペトラの全身を見やる。
「ペトラよね?…ん??どしたのこの格好」
入団したばかりのAは何も知らないようだった。
「うーん、今日のテーマは配給のオバちゃん?何してんの?」
そういって笑うAの背後に睨みを利かせたリヴァイが立っている。
ペトラは顔面蒼白になった。
「これでアームバンドでもすれば立派なオバちゃんスタイルじゃない。持ってこようか?センスいい!ははは」
どんどん怒っているように見えるリヴァイにどんどん真っ青になったのはペトラだけではない。
「…はっ」
小さく噴き出した背後からの声にAは飛び上がる。
振り向くとリヴァイが立っていて、さっきの笑い声はリヴァイだったのだと理解した。
遅ればせながらAも青くなったが、口の端をあげたリヴァイに落ち着いたようだ。
「おもしれえ事言うじゃねえか」
「…?」
「俺の見立てだ」
Aは大慌てで敬礼をした。
「あ…あ〜なるほど。そうだったんですね!どちらで購入されたんですか?動きやすそうで素敵ですね」
あからさまなフォローに周囲の兵士はまたもゾッとする。
ペトラも相変わらず真っ青だ。
自分も姉として謝罪をと思ったが、リヴァイの反応は予想と違った。
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作者名:ララ | 作成日時:2020年12月26日 2時