第41話 ページ42
何やら物音がしてAはうっすらと目を覚ました。
目を閉じたままだんだん意識がハッキリしていく。
そして完全に目が覚めた時、部屋の中に誰かいる事に気づいた。
(兵士の部屋に侵入するなんて…)
Aは心の中で決意する。
「…殺そう」
そう呟いて起き上がろうとすると、口を手で押さえつけられてベッドに押し付けられた。
「!!!」
驚いて殴りかかろうとしたが、それは目の前の人物に制止された。
ベッドの上で口を抑え込んできたのはリヴァイだった。
空いている方の手を口元に当てて「しっ」と静かにするように言われた。
「静かにしろ」
そう言われて何度も頷くとやっと口元から手を放してくれた。
解放されたAは安心したように息をしてベッドにまた寝ころんだ。
「こ、怖かった…なんだ兵長かぁ」
「なにが怖かった、だ。殺そうとかなんとか言ってやがったろ」
ベッドの上で膝をついた状態のリヴァイは呆れた様にAを見た。
リヴァイは制服ではなかった。
黒いシャツにラフなパンツに立体起動装置をつけている。
ここは女性宿舎の3階だ。
リヴァイは立体起動装置でここに入ってきたらしい。
窓が開いていたんでな、と言った。
「開いていたら入っていいわけじゃありませんよね」
Aが言うが、今度のリヴァイの興味はAの部屋に移っていた。
潔癖症のリヴァイからすればまったく綺麗ではない部屋だ。
下着だって干してあるし、そこら中に木材やら画材やらが散らかっている。
Aは慌ててリヴァイの肩を掴むと、壁の方を向かせる。
「なんだ」
「なんだじゃなくて!ちょっと待っててください、片付けますから」
そういうとベッドから慌てて降りて片づけをする。
しかしリヴァイはすぐにベッドから降りてきて部屋に置いてある絵やら皿を眺めていた。
「兵士の部屋と言うよりもギャラリーだな」
「もうっ、勝手に見ないでくださいっ」
Aが何を言っても聞かない。
「まぁ想像通りの部屋だな」
「だからっ」
いきなり気を抜いた部屋を見られて恥ずかしいやらなんやらで困ったAだったが、リヴァイに抱きしめられて大人しくなる。
「忙しい俺が睡眠時間を削ってここまで来たんだ。歓迎しくれても良くねえか?」
「…」
「お前に会いたくなったから来た。お前はどうなんだ」
「あ…あいたかったデス。できればもっと色々キレイな状態で」
Aは余計な一言を添えて抱きしめ返した。
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作者名:ララ | 作成日時:2020年12月26日 2時