姉妹の事情【お相手：リヴァイ】前編 (ページ38)

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第37話ページ38

Aは頭をフル稼働させる。

(そもそも付き合ってない…)

(でも、彼の日ごろの行動や言動から、私の事が好きなのかな？とは思っていた)

(いやいや。だとしても普通そういうのすっ飛ばして結婚なんてあるの？)

そうやって考えている内容をリヴァイは見通しているようだ。
「今までの俺の行動や言動から察してはいたはずだ。俺はそのつもりでやっていたからな」

Aは慌てて手を振った。
「待ってください。あの、それはとても難しい問題なんです」
「何がだ」
「兵長から正式に交際を申し込まれていたらお断りしていましたから」
その言葉にリヴァイはショックを受けたらしい。
目を見開いてじっとこちらを見ている。
見たことのない顔だ。

「…何故だ」
「何故って、病気の事でです、勿論」
「それの何が問題なんだ」

「…。ペトラには話したことがあるのですが、私、病気が分かってから誰ともお付き合いしていないんです。もしその先に結婚があっても、私の方が先に死ぬと思いますから。相手の方に結婚歴ができるのも申し訳なくて…。それにもし結婚しなくても子供ができたら、この病気が遺伝するかもしれません。そうなったら子供にも申し訳なくて」
そう言って俯き、膝に置いた手を握りしめるAをリヴァイは見る。

「やっぱりお前は、ペトラの妹だな」
「何をいまさら…」
「起きてもいない事を先回りして心配する所なんてそっくりだ」
そういえばかなり前に、リヴァイがペトラの事をそう言っていた。
Aが顔を上げるとリヴァイと目が合う。
今までに見たことがないような穏やかな表情だ。
今日はリヴァイの見た事のない顔をたくさん見る。

「だがお前の心配している事なんて、俺から言わせりゃなんの事はねえ。まず先に死ぬ問題だが、調査兵をやってる以上、それは俺と五分五分だ」
「は、はい」
リヴァイは指折り説いてくる。

「次に子供問題だが、子供なんて欲しいと思ってすぐに出来るもんじゃねぇ。ましてや俺もこんな仕事をしてる身だ。子供に関しては慎重に考えている。それに俺は親も親戚もねぇから、万が一の遺伝に関しての世間体も関係ないし、子供に遺伝しててお前が先に死んでも絶対にちゃんと育てる。…まず遺伝性の物かも分かってないしな」

そこまで言ったリヴァイはAの手を握った。