姉妹の事情【お相手：リヴァイ】前編 (ページ34)

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第33話ページ34

それから1年半。

何度かの壁外調査をAは生き残った。

上位組の実力はだてではないようだ。

リヴァイとも大分馴染んできて、今では時々気軽に2人で食事にもいくようになっていた。
もう兵団の中では仲のいい2人として認識されている。

しかしその日は突然訪れた。

2度目の巨人侵攻だった。

壁外調査に出ていた調査兵団は急遽壁内に戻り、事態の鎮静化を図る。
そしてその事後処理を終えてひと段落着いた頃。

「兵長！」
突然執務室に入ってきたのはオルオだ。
「どうした。うるせぇな」
「Aが倒れて！ペトラが病院に付き添っていますが…その」
オルオの顔色にリヴァイも血の気が引いた。

オルオはリヴァイを尊敬していることから、彼のAに対する気持ちも分かっているのか。
ペトラに言われたわけではないが、彼の判断で呼びに来たようだった。
慌てて廊下に出た。
オルオは隣を歩きながら状況を説明する。

巨人に食われそうになった新兵を助けた際、倒壊した瓦礫の下敷きになったそうだ。
ただそれ自体は瓦礫の空間に滑り込んで擦り傷程度だったのだが、救助活動中に気を失ったらしい。
理由を知らない兵士たちはそのまま病院へ運んだそうだが、おそらく瓦礫の下敷きになって身動きが取れなくなった時に運悪く発作が起こったのだと思われる。

兵団病院は一般市民の受け入れもしていてごった返していたが、人混みをかき分けて受付で部屋の番号を聞き階段を駆け上がる。
病室に近づくと、後ろから追いかけてきた看護師に引き留められた。

「待ってください！病室に入らないでください！」
リヴァイの形相に、面会謝絶の札も見ずに病室に入るかもしれないと思って追いかけてきたらしい。
「あ？だが死ぬかもしれねぇだろうが」
「だからです！今はご家族しか許可できません！」

少しの押し問答はあったが、流石にオルオにまで止められたら聞かないわけにもいかず、大きく息を吐いてAの病室の近くの長椅子に座った。

オルオが隣に立つ。

静かにしていたら、病室内の声が小さく聞こえた。
どの部屋にも患者がいるのだろう。
すすり泣く声も聞こえる。

A達の両親はこの騒動で連絡もつかないだろうから、ペトラだけが付き添っているのだと思われる。
彼女の病室は静かだ。