第4話 ページ4
Aが調査兵団でハンジの班に入ってから一週間がたっていた。
「じゃあこれ頼んでもいいかな?」
「はい」
Aはハンジに笑って頷く。
そんな彼女を見てハンジも笑った。
「悪いねA。君以外の人間はみんなよその班に行っちゃってさ」
ハンジの班は本人の特殊さ故、任命後にあまりに合わない場合は他の班に異動希望ができるという特殊なルールがあった。(何人か精神的に参った兵士がいるそう)
A以外に4人が入ったのだが、その4人は全員他班に行ってしまったのだ。
ハンジはAとモブリットに仕事を任せると去っていった。
「悪いな、A。こんな雑用ばっかりで。ハンジさんは巨人関連の仕事を沢山請け負っててね」
これから行うのは巨人に見立てた板の整備だ。
うなじの硬さや巨人が出てくる速度をよりリアルにするのもハンジの仕事であり、ライフワークでもあるらしい。
本来なら新兵達で行うのだが、今回のハンジ班は不作だったので急遽モブリットが手伝うことになった。
「とんでもないです!モブリットさんが手伝ってくださるだけでもとてもありがたいです」
残されたAとモブリットは笑いあうと作業に取り掛かる。
「じゃあ私は、巨人のうなじに当たる部分の土嚢をつけ直すから、新しい木型を作ってもらえるか?」
「ここにある板を巨人の形に成形すればいいんですね」
「そうだ。型紙があるからその通りに切るだけだが…難しいんじゃないか?」
「私、こういうの大好きなんです!なので自分でやってみてもいいですか?出来なかったらご指導お願いします」
言いながらAは板とのこぎりを持ち上げた。
その頃、ペトラは何枚かの図面をもって歩いていた。
ハンジにAの所の持っていくよう頼まれたのだ。
そして隣にはリヴァイ。
2人で並んで図面を持って歩いている状況だ。
彼もハンジに頼まれたわけだが。
まずハンジが、リヴァイと立ち話をしていたペトラに声をかけた。
彼女の妹であるAが仕事をしているのだが、その際に使う設計図をいくつか渡し忘れていたのだという。
ペトラは1人で運ぶといったのだが、思いのほか量が多かったのもあってリヴァイが手伝ってくれることになった。
最初は怖かった印象のリヴァイも、最近はこうして日常会話もできるようになり嬉しい限りだ。
そしてこの状況も本来ならペトラ的にはとても嬉しい状況なのだが、行き先がよくない。
(Aかぁ)
内心ため息が出た。
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作者名:ララ | 作成日時:2020年12月26日 2時