姉妹の事情【お相手：リヴァイ】前編 (ページ28)

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第28話ページ28

「………明日にでも、Aの見舞いに行っていいか」

リヴァイの言葉に、ペトラはポットを持つ手に力を込めた。
少し、自分にも望みがあるのかと思ってしまった事が恥ずかしい。
リヴァイはやはり、Aの事が。

まだ酒は残っているのだろうか？
いつもなら心の中で終わらせそうな言葉が口をついた。

「どうして私に聞くんですか？」
「あ？」
リヴァイがこちらを見た。
ペトラはリヴァイを見ることができない。

「あの子に…Aに直接聞けばいいんじゃないですか？」

「……そうだな」
少しの間の後、そう答えてリヴァイは立ち上がった。

今のは失言だ！
そう思い振り返ると、リヴァイの背中が目に入る。
このまま食堂から出ていったら、彼は…

「好きです！」

ペトラの声にリヴァイの足が止まる。
「ずっと、ずっと好きで…あ、あの！急に、すみません」
リヴァイの心を引き留めたくて出た言葉が口先でもつれた。
リヴァイは振り向く。

「そうか。ありがとう」

いつもよりも少しだけ声色が優しい。

「だが、お前は俺の班員で部下だ。それ以上でも以下でもない。期待させるようなことをしたのなら謝る」

迷いなくハッキリそういったリヴァイに、ペトラは満面の笑みで頷く。
「ありがとうございます！いつ死ぬか分からない身ですので、絶対に言っておきたいって思ってたんです」

そう、本当に言ってみただけ。
あなたの事が好きなのに、あなたが想っている人が分からないはずがないでしょう？

ペトラはこちらを見るリヴァイの視線を断ち切るように、ポットを持って立ち上がる。
そしてその隣を通り抜けた。
「Aは、明日のお昼以降に兵長がいらっしゃると伝えておきます」
「……」
「大丈夫です。私、分かってて言いましたから。明日からは何事もなかったようにできます」

ペトラはリヴァイを見ずにそのまま食堂を出て行った。

リヴァイは少し辛そうに眉間に皺を寄せていた。

あんな顔されたくて言ったわけじゃない。
でもあそこで言わなきゃ、もう言える機会はなかった。
私があなたをどう思っていたのか、知っていてほしい。
ただそれだけだった。
そして言葉にした瞬間に、私じゃないことがハッキリと分かった。