第25話 ページ25
「で。蒸し返すようで悪いんだけど。アンタのとりもち方はおかしいからね」
「え?」
「兵長に食事、誘われてたんでしょ?私との約束より先に誘われてたの?」
「…うん」
先にリヴァイに誘われたが、ペトラが彼の事を好きなのが分かっていたので一度断ったらしい。
その際、ペトラと会うからと嘘をついてしまったのでどうしようかと思っていたら、その日の夕飯前に本当にペトラから誘われて驚いたのだと言う。
「でも夕飯の後、兵長にペトラと含めて3人で食事に行こうって言われて」
「なんで3人だったのかしら?」
「私が兵長の前でガチガチだったから、「2人が緊張するんだろ」って…」
そこまで言ってハッと口を閉じた。
そんなAの肩をペトラが叩く。
「いいのよ、遠慮しなくて。にしても、私なりに兵長にアタックしてきたつもりだったんだけどね。気づかれてもなかったのね」
流石にペトラが好意を持っていると分かっていれば、リヴァイがそんなことを提案するわけがない。
「今回は私もちゃんと言わなくちゃね」
「今回?」
「…まあ、それはこっちの話。とりあえず私の事は気にしない事。いい?」
「いやだから、私、兵長の事は別に…」
「今はそうでも、今後どうなるか分からないじゃない。…だから、もし兵長の事を好きになってもちゃんと向き合いなよ?言っとくけどアンタが病気だからとかで引くつもりもないからね」
「ほんと、話聞かないんだから」
Aには珍しく言いよどむ。
「とにかく、とりもつのもアンタが兵長を避けるのもナシ!そういうのはアンタがどうこうしたって意味がないでしょ?決めるのは兵長なんだから。それにAが言うように、すべての好意が恋愛感情とは限らないしね」
そういって立ち上がる。
「水持ってきてあげる。眠れそうなら寝てて」
ポットを持って部屋を出たペトラは食堂に向かった。
廊下を歩きながらため息をつく。
私は兵長が好きだったからずっと見てて知ってる。
兵長のAに対する態度は今までに見たことがない。
愛だのなんだのは一緒にいた年数じゃないことも。
だって私が恋をしたのも一瞬だったから。
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作者名:ララ | 作成日時:2020年12月26日 2時