第18話 ページ18
翌日、Aはペトラと買い物をした後にカフェにいた。
訓練兵時代の話や、実家の近況を話す。
そうして夕方頃には兵舎に向けて歩き出す。
「そういえばさ。………今日は、誰にも誘われてなかったの?」
「え?」
「いやほら、アンタも調査兵団に入って3か月でしょ?慣れてきた頃だろうし、仲のいい人くらい出来たんじゃないの?」
そういうとAは頬をかく。
「どうだろ。出かけるほどの人はまだいないかなぁ。それに急にできた知り合いよりもペトラと遊んでたい」
言いながら地面の小石を蹴った。
こういうところは妹として凄く可愛くて嫌いじゃない。
するとAは何か思い出したように顔をあげる。
「げ!さっきのカフェに忘れ物した!ほら腕につけてたアクセサリー!食べるのに邪魔だったから外したの!」
「えぇ!?なにやってんのよ!一緒に戻ろうか?」
「ん〜すぐ見つかるか分かんないしなぁ。………いいや、先に帰ってて!今日はありがとう!じゃーね、また明日!」
ペトラの返事を待たずに勝手に会話を完結させると、Aは全速力で来た道を戻っていった。
残されたペトラは1人で兵舎に戻る。
すると宿舎の門前でリヴァイに鉢合わせた。
「なんだ、帰ったのか」
「はっ、はい!お疲れ様です」
「敬礼はいい。今日のお前は非番だろう。行くぞ」
そういって隣をすり抜けて歩き出すリヴァイに、目を丸くした。
「あの。行くって、」
「飯だ」
顎でしゃくってまた歩き出すリヴァイに、ペトラは一気に頬が熱くなる。
背中越しにこちらを見たリヴァイに大慌てでついていった。
向かった先は小さい飲み屋だった。
半個室に案内されて互いに向き合って座る。
リヴァイがその綺麗な指でメニューを辿るのを見ていると、そこから顔を上げた視線とぶつかる。
「何にするか決めたのか」
「へ!?あ…こ、これで!」
「あ?」
ペトラが指さしたのはウイスキーだ。
「お前、こんなの飲めたか?」
「ぅ、え?」
「お前が果実酒しか飲めねえって聞いたからここにしたんだがな」
その言葉に顔から火が出そうだった。
あのリヴァイが、自分だけを見て、自分の好みも分かってくれてて、それに合わせた店にしてくれて。
リヴァイの気まぐれにしても急な展開に、これは夢ではないかと疑うほどだったが、心臓が痛いくらいに高鳴るので嘘ではないだろう。
そして、本当は果実酒がいいです!という前にリヴァイがウイスキーを頼んでしまった。
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作者名:ララ | 作成日時:2020年12月26日 2時