姉妹の事情【お相手：リヴァイ】前編 (ページ16)

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第16話ページ16

Aが出て行った後の食堂は一気に静かになった。

窓の外からは訓練の声が聞こえる。
なんとなくぼんやりと外の音を聞いていたペトラだったが、リヴァイが椅子を引いた音でそちらを見る。
リヴァイは窓際から椅子に移ると、Aが淹れた紅茶をカップに注いだ。

「悪かったな、ペトラ。お前の頼まれごとを邪魔した」
「そんな、謝らないでください！元はといえばあの子が悪いんですから」

そしてふとリヴァイの前に置いてあるもう1組のカップを見ると、彼は、ああ…と呟いた。

「Aに飲ませてやった」
「そう、なんですね」

胸が痛い。

どんな話をしたんですか？
あの子はどんな反応だったんですか？
どちらから話しかけたんですか？
楽しかったですか？

ペトラはただじっとリヴァイを見ていた。
リヴァイはペトラの視線に気づいていない様で、Aが淹れた紅茶を一口飲むと、大きくせき込む。
「！？大丈夫ですか！？兵長！！」
慌ててハンカチを差し出したペトラに片手で礼を言うと、リヴァイは自分のハンカチで出して口元を拭った。
「…ごほっ、あの野郎、なんて紅茶淹れてんだ…！」
「ま、不味かったんですか？」
「不味いなんてもんじゃねえ。なんだこれは。…紅茶の缶と何かを間違えやがったか？」
そういったリヴァイを心配そうに見ていたが、彼の方が小さく震えている。

よく見るとリヴァイは笑っていた。
「…くっ、…ははっ、何を入れればこんなことになる」
声を押し殺してはいるが、吹き出しそうになるのを堪えているようだった。