恋のキューピット【srr】【mfmf】

46.自分 ページ47

そらるside


何度会っても、[橘]なんて名字で呼ぶのは慣れない

俺はもうキューピットじゃないし、あいつの記憶だって消した。いや性格には封じ込めた、かな

完全に消せる可能性は0に等しい。だからなるべく深い場所に俺の記憶を葬った



……はずなのに

『……私たち、って前に会ったことありましたっけ？』

微かに彼女のどこかに俺と過ごした思い出が残ってる

それは俺を苦しめるだけで、嬉しくもなんともない

このまま、Aはまふと一緒に人生を歩んでく。それを間近で俺は見る

いっそのこと全部綺麗に忘れてくれたらいいのに



最後に言った言葉は届いたのだろうか。届いていたとしても意味なんてない

誰かを好きになるのはこれで最後だ。それがあんなバカみたいなやつだったのはちょっと癪だけど

Aを好きになって、キスして、それ以上のこともして

なのに恋人になってはいけない

自分の気持ちを押し殺してでも、運命に従わなくてはいけない

[ピロン♪]

神様そらる君、次の仕事だよ



この世には運命の人が存在する

でも、確実には出会えるとは限らない

それを手助けするのが俺たちキューピット

俺は人に幸せを運ぶために生まれた存在




自分の幸せなんて願わない







恋のキューピット



END

あとがきと新作のお知らせ→←45.昔のこと

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す