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「うっわぁ?!」
なんの前振りもなく、ロボットは持っていた剣を振りかざす。
僕らに当たることはなかったが、威力があったのかその衝撃で地面が地震が起こったかのようにぐらっと揺れる。
「まふまふっ!」
転びそうになったところをそらるさんに支えてもらい、体制を整える。
「そらるさん、ありがとうございます」
お礼を言うとふわりとはにかんだ。
「いいよ。まふまふを守るって決めたから……攻撃するよ」
「はい!」
そらるさんはハンマーを構え、僕は矢を弓にセットする。
僕が弓を引いて矢が放たれたのを確認したそらるさんはハンマーを振りかざしロボットに攻撃を仕掛ける。
突然の攻撃に反応できなかったロボットはその攻撃を喰らい、後ろへ下がる。
これだったら、ぼくもいけるかもしれない。
弓を構えて、思いっきり引いて、矢を放つ。
勢いが良かったためか反動で体がふらついた。
「っく……」
そらるさんはハンマーを巧みに使いロボットを翻弄しているようだ。
でも、ロボットの動きは負けないくらい早くこのままいけばそらるさんが体力の都合でバテてしまいそうだ。ただでさえ、現実では引きこもりなんだから。
そらるさんをサポートするように弓を構え、矢を放つ。
僕の腕がいいのか、性能がいいのか、はたまた両方か放った矢は全てあのロボットへ命中している。
どうやら、攻撃を喰らうとお互い喰らったダメージが上に表示されるみたいだ。
そらるさんとロボットは一進一退。
お互いが喰らうダメージも20前後。
ハンマーと剣が擦れ合い音が響く。
弓を引く手は止めない。
僕が攻撃したからだろうか。
ロボットが僕の方を向いたのだ。
敵意を剥き出しにした眼差しに体がすくみ上がる。
「ひっ……」
やっと振り絞って出た声は助けを求めるものとは到底思えないほどに弱々しかった。
「……まふまふに、触んな!!」
ハンマーがロボットの頭に命中。
ロボットはふらり、よろめいた。
「まふまふ、こっちだ!」
そらるさんにそう呼ばれ、手招きされる。
震える足を必死に動かしてそらるさんの方へと向かう。
「まふまふ、もう、ここにいろ。あとは俺がなんとかするから」
さっきの恐怖で震え上がった体では進んでいくそらるさんに手を伸ばせない。だめだって止めることが出来ない。
声が届かない。そらるさん、だめだよ。やめて。
「そらるさんっ!やめてよッ!」
僕の声に振り向いたそらるさんはいつもより何倍も綺麗で強い意志を持った笑顔を向けた。
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凪桜(プロフ) - レンスイさん» 感想見させて頂きました!他の方からの目線で見るとまだまだ足りないのが多いと感じます……訂正を加えたりこれから書く話にもレンスイさんの書いていたことを取り入れたいと思います!文章が綺麗というのは情景などに気をつけていたので嬉しいです! (2019年2月13日 17時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
レンスイ(プロフ) - とても面白かったです!! すごく好みの設定で、文章もどれもが綺麗でした!! 私の作品の方で、こちらの物語の感想をお書きしました!よろしければ見て頂けると嬉しいです!!! (2019年2月13日 15時) (レス) id: 85db579f44 (このIDを非表示/違反報告)
咲姫(プロフ) - りすさん» コメントありがとうございます!情景には気を付けていたのでそう言って頂けてとても嬉しいです! (2019年1月26日 9時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - 情景の表しかたが御綺麗でとても好きです。続きが楽しみです。 (2019年1月26日 9時) (レス) id: 89241487ec (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - Liteさん» コメントありがとうございます!ほんとですか?!すごい嬉しいです〜 (2018年12月25日 17時) (レス) id: b3cf2c91ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凪沙 x他1人 | 作成日時:2018年10月14日 13時