歌い手系カフェ店員と声優さん 2nd (ページ9)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:68,015 hit

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湧き上がる歓声

ステージがドッと揺れる

『おまたせしましたー！！！

アイリスです！アンコールありがとう！！

せっかくアンコールしてくれたんだけど
私の、私の話、聞いてもらってもいい？』

問いかけると

いいよ！！もちろん！！！

などの言葉が聞こえる

『お言葉に甘えて

今まで辛いこと、大変だったこと私だけじゃなて、みんなにも絶対あったと思うんだ、だけど、辛くて辛くて心が折れそうなときに、誰かの声を聴いて元気が出たことあるって人は少なくないよね？』

うんうんと頷いてくれている人がいる

よかった

『私は、歌い手のみんなの声はもちろん、
その時ハマってたとある声優さんにも勇気をもらいました。私は、私を元気づけてくれた、歌い手のみんなや、私に勇気をくれた声優さんみたいになりたい！

声で人を救えるような！

そんな大きい存在になりたい！

そう思うようになりました。
歌い手を始めて、小さな規模でもライブをできるようになって、嬉しかった！

今日のライブは私の夢を叶えるための大きな一歩になりました

何回目かわかんないけど、本当にありがとう』

きゃーーー！！！

やら

うぉーー！！！

などが聞こえ

『本当は、10周年記念ライブと同時に引退しようとしてたの、夢を捨てて』

ｼﾝｯと静まり返った

『実は私、両親と祖父母を亡くしてまして、
血の繋がった家族がひとりもいないんです。

両親を中3で亡くして北海道の母方の祖母に引き取られたんですけど、私の高校卒業と同時に亡くなりました。父方の祖父母は私が生まれる前に亡くなってて。

行く当てなく、家にひとり。
寂しくて寂しくて仕方なかったときに、天月くんが東京に誘ってくれて今ここにいます。
でもやっぱり家族のいない寂しさは紛らわせない、家に帰っても誰もいない、話し相手がいない。

そう思うと辛くなって、家にいたら独りだ、孤独だって思い知らされる気がして、外に出て、スーパー、デパートですれ違う親子、手をつなぐ夫婦、羨ましくなって、余計家族のぬくもりが欲しくなるんです。
理由もなく抱きしめてくれる家族がほしい。
そう思ったときに歌い手はやめるべきと考えました。このままじゃ社会を知らなすぎる。
歌い手は、まだまだ知らない人のほうが多いし、
マネージャーにも言いました。10周年記念で活動を引退するって

でも無理でした』