第十八話 ページ20
〜貴方side〜
ジリリリリ!
激しいベルの音が鳴り響き、私はめを覚ます。ぼんやりとした視界のまま上半身を起こす。……頭いたいな。
『うわ、目腫れてる』
そういえば昨日、私は泣きまくったんだ。紘汰兄ちゃんがいて、見られてしまって………嫌われたかもしれない。
私は手に何か握っていたようでひょいと持ち上げた。
誰かのジャージ。誰のだ?と考えると答えはただひとつ。
白竜だ。
昨日泣いてるときにきて……あー思いきり泣いたんだっけ、私
多分ジャージは握ったままだったからかな、うん。
とにかく返しにいくために少し髪をとかしてから部屋を飛び出た。
そのとき、私はあるものを部屋に置きっぱなしにして誰かに見られたなんて、私は思いもよらなかった。
『ハァ…ハァ………!!』
あれからずっと走りまくったが、どこにもいない。
と、なれば目の前のこの扉の向こうにしかいない。
扉の横に書かれていたのは【特別訓練所】。私や白竜みたいにチームゼロに選ばれるような実力の持ち主じゃない限り入れない。
私は側にある指紋認証機に指当てて入る。中からはボールと壁がぶつかる音、ボールを蹴る音だけが響いていた。
そっと覗くと、白竜が無心にボールを蹴り続けていた。マシンから飛び出るボールはかなりの威力。ずっと受けるなんて無理だ。
『は、白竜!』
白竜「?…葛葉か」
白竜はマシンの電源切って近付いてきた。
白竜「どうした、朝早くから」
『こ、これ!』
バッてジャージを出す。白竜はきょとんとするが、すぐにあぁ…と理解してからジャージを受け取る。
白竜「わざわざすまないな」
『いや、別に…』
私の目線は完全に白竜の足。少し筋肉質な足は丈夫そうだが、靴下がぼろぼろだ。
白竜はどうした?と聞いてくる。
我慢できない。
『足見せて!!』
白竜「は?」
『いいから、早く!』
私は自分でも笑えるくらいの気迫で無理やり白竜の靴下をおろした。そこには真っ赤に腫れた足。その痛々しさは白竜がどれだけ頑張ったのか物語る。
私は無理やりだけど、応急措置として足を冷やした。
『全く……選手なら、ちゃんとケアくらいしなさいよね』
白竜「す、すまない…」
今回だけだから、と付け足して微笑んだ。
白竜の頬が赤くなったのは私は知らない。
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作者名:まーる | 作者ホームページ:http://marl102917
作成日時:2014年4月18日 23時