第十六話 ページ18
その日の夜。
私は部屋でひとり震えていた。分かってた。覚悟してた。
でも、絶対に紘汰兄ちゃんに嫌われた。
『やだよぉ…』
珍しいくらい、私は女の子らしい声で泣いた。最小限の声で。
アンリミテッドシャイン…いや、チームゼロのエースMFがこんな情けない人とか、皆に見下される。
なんのために、私がここにいるか分からなくなる。
でも、今日だけ泣かせてください。
『うぁ………っ……』
ポロポロと流れた大粒の涙はシーツに滲み、濡らす。
私って、こんなに泣き虫だったのかな？
そんなとき、ガチャリと扉が開いた。
まずい!!!!!
白竜「葛葉………？」
あぁ、終わった。
これしかなかった。
〜白竜side〜
今日の試合の後、葛葉の表情がどうしても頭から離れない。
今までにないくらい驚いた表情。あいつはあまり感情を露にすることがない、いわばポーカーフェイスというやつ。
だが、今日は一気にポーカーフェイスが崩れていた。
俺は気になるので、本人に聞くことにした。
一応、コンコンとノックした。だが、なにも聞こえない。
いるはずなんだが……
耳を澄まし、壁に耳をつけた。
微かに聞こえた女性の声。だけど普通の声じゃない。
とても弱々しく、すすり泣く声。
まさか、な？
とにかく俺は扉をあけた。
白竜「葛葉…？」
『は、白竜…………ッ！？』
案の定、葛葉だった。
だが、様子がおかしい。目には涙を溜め、怯えるような…
俺は気付いた。
こいつも、女だということに。
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作者名：まーる | 作者ホームページ：http://marl102917
作成日時：2014年4月18日 23時
