第十三章 ロマンス ページ1
あ〜もう…会えるのは嬉しいけど、よりによってメイド姿の時に……
…いや、でも前にメイド服着るの考えておくって言ったから、これはこれで約束は果たされたの…か
な……?
何にしても恥ずかしいものはやっぱり恥ずかしい。
またあの二人の前に出て行かないといけないとなると…複雑な気分だ。
「これ、三番テーブルにお願いね〜」
二つのカップが乗ったトレーが出される。
三番テーブルはマークとフィディオの座る席だ。
「はーい、私持って行きまーす!」
私がそのトレーを取ろうとした時、横からサッとそれを持っていく他のクラスメイト。
突然の事に呆然と彼女を目で追っていくと、二人のテーブルに嬉しそうにカップを置いた。
けれどもすぐにその場を離れる事はなく、何か話し掛けている。
頬を赤らめながら笑う顔は…まさに恋する乙女そのもの。
すると他のメイド達も次々とマークとフィディオの元に集まっていき、ちょっとした人集りが生まれた。
フィディオはニコニコしながら対応してるけど、マークはどこか困惑したように笑っている。
「………」
「あ、あの子達…!私ちょっと言ってくるね」
事態に気付いた秋ちゃんが彼女達に向かっていく中、私はただスカートの裾を握り締めていた。
「…ごめん、私ちょっとお手洗い行って来るね」
「え、A!?」
近くに居た円堂君に伝えると、頭のカチューシャを置いて教室から逃げるように飛び出した。
人混みの中を走って走って辿り着いたのは、人気の無い体育館裏だ。
壁に背を付けてしゃがみ込む。
私…何やってるんだろ……
勝手に仕事放棄して、こんなところまで来て。
でも…あの光景をずっと見続けるのは、堪えられない。
たぶん秋ちゃんが注意してくれただろうから、もう集まってはいないだろう。
それでも他の女の子達のマークを見る視線が…どうしても嫌だった。
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結川(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます! (2021年9月19日 1時) (レス) id: d45f7778dc (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 続編おめでとうございます!高評価しました! (2021年9月18日 16時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結川 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時:2021年9月18日 16時