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スタジアムの外に出てくれば、イナズマキャラバンはすぐ目の前に。
「じゃあ、明日の試合…頑張ってね」
「ああ。見ていてくれよ、俺達の戦い」
ゆっくりと、繋いでいた手を解いていく。
この瞬間はいつも切ない気持ちになる。
お別れなんだというのを一番実感しまうから…
手を振り合ってから私はキャラバンに乗り込んだ。
「あ、A先輩！どこに行ってたんですか？」
席に座れば通路を挟んで隣の春奈ちゃんが早速聞いてきた。
「音無さん、聞かなくても分かるんじゃない？」
「え？…ああ、なるほど！野暮な事をお聞きしてすみませんっ」
「ふ、二人とも…」
明らかに楽しんでいる秋ちゃんと春奈ちゃんに苦笑いするしかない。
彼女達は恋愛に関する事には妙に鋭さを見せる。
「よーし、みんな揃ったな？出発するぞー」
古株さんの声を合図にイナズマキャラバンにエンジンがかかる。
その時、ふと窓の外に目を向けてみると、まだマークが立っていてこちらに手を振ってくれていた。
私は嬉しさを感じながら、こちらも小さく手を振り返す。
「ふふ、本当にラブラブなんですね。裕子さん」
「見ててほっこりするわ」
相変わらずニコニコと笑顔を向けてくれるマネージャーさん達。
今度はさすがに照れ臭くて、顔に熱が集まっていく。
「Aちゃん…僕は諦めないからね」
「ヒロトだけじゃなく、他の奴らも同じだ」
突然の宣言に理解が出来ず、後ろの席にいるヒロト君達を呆然と見つめる。
なっ何か…一部の人達が燃えているような……
「お前も大変だな、A…まあ、気にしないでお前は普段通りでいてくれればいい」
「鬼道君？う、うん…」
何故か鬼道君がそう言ってくれたから取り敢えず頷いておいた。
少し彼らの様子が気になりながらも席に座り直す。
自然と頭に浮かぶのは…明日のマーク達の試合。
正直、今回こそ本当に複雑な試合かもしれない。
もしユニコーンが勝てば得失点差で、負けた場合は…私達イナズマジャパンの決勝トーナメント進出が決まる。
どちらがいいか、なんて考えられない。
だから今回も…最後まで見守ろう。
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月23日 16時
