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私は渋々といった感じでまずはサラダを口に運ぶ。
「！美味しい…！」
「清めのドレッシングをかけたフルーツサラダでございます」
「清め…？」
何だか神秘的なドレッシングだなぁ…
初めて食べたけれど、味は本当に美味しい。
私はお腹が空いていたのもあって次々と料理を口に運んでいく。
そこへ金髪の女の子が入って来て、青い髪の青年に耳打ちをした。
「朝食が終わりましたら、清浄の間へ。お召し物の準備が出来ましたので」
「？お召し物？」
それ以上は何の説明もないため、一体何の事か見当もつかない。
出された朝食を食べられるところまで食べた後、私は二人の女の子に違う部屋へと連れ出された。
連れて来られた部屋で白い衣装に着替えさせられ、さすがに不安になってきたところで思い切って聞いてみる。
「あっあの！一体私をどうするつもりなんですか…！？」
「貴女には魔王の花嫁になってもらうのよ」
「この衣装はそのための花嫁衣装なの」
何を言われているのか全く理解が出来ない。
魔王の花嫁…？
誰が…？
…私、が……？
魔王の花嫁という強烈なワードが頭の中をぐるぐると支配する。
頭が混乱する中、二人に両腕を抱えられてまた場所を移動させられていく。
と、とにかく逃げなきゃ…！
その思いが強く出てきて、私は必死に抵抗した。
「はっ離して…！離してってば！」
「Aーっ！」
ちょうど外が見える廊下に差し掛かった時、私の名前を呼ぶずっと聞きたかった声。
声の先を見ると、円堂君をはじめとした赤組のみんなの姿が。
「円堂君、マーク！それにみんな！来てくれたんだね！お願い、助けて…！私…花嫁になんてなりたくない…っ！」
そう叫べばみんな怪訝そうな顔をする。
「このお方には千年祭で復活する魔王の花嫁になっていただく」
最初に現れた男の子が静かに告げると、円堂君達はとても驚いていた。
無理もない…私もついさっき聞かされて、未だに信じられていないのだから。
彼は魔王に花嫁を捧げる事で、再び深い眠りにつかせるのが目的なのだと語る。
「さあ、儀式の邪魔だ。すぐにこの地から立ち去れ！」
「このまま大人しく帰れる訳がない！俺のAは返してもらうぞ！」
「Aは必ず連れて帰る！魔王の花嫁なんかにさせはしない！」
「みんな…」
私のために一歩も引く姿勢を見せない彼らに胸の奥が熱くなる。
こんな素敵な仲間達が居てくれて、本当に私は幸せ者だ。
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月23日 16時
