僕らは出来ない

けんじゅうとおのと ページ22

「それはそれで傷付くよ？」

ヤイチは心臓の辺りをきゅっと握りしめて言った。


「まぁ、適している人物が使うのが良いでしょうし、ヒトハに渡します」

そう嘆き悲しむヤイチの手から銃を取り、ムクはヒトハに差し出す


「うぇー！？僕も使いたかったなーカッコいい武器！」

「そういえばこの棟には他にも武器があったはず…たしか斧だったかな？」

「ここ…本当になんでもあるね……」



ヒトハは銃のことをまじまじと見て、誰もいない方向へ発砲した。


「ふむふむ…目線は少し上らへんを見るとウチの場合は良いみたいだ…」


続いてニ、三発同じ要領で撃つ。


「でも、さっきはミナだったからいいものの、普通の【失敗作】とか研究員に当たったら即死だよね…う〜ん」


ぶつぶつと考え込み、


「ま、いいか！そんときはそんときだし！」


結局は楽観的に考えることにした。



「そうだ、どうしてこのおっとりしすぎた第八棟にこんなに武器があるのか思い出した」

ミヤは神妙な顔をして五人に告げる。



「第八棟はそこまで問題になるような性格をした【失敗作】がいないんだよ、ミナみたいなね」

「え？僕悪口言われてんの？」


「それで、【失敗作】って……






たまぁに、暴走することがあるらしいんだよ。それも、原型留めないくらいぐちゃぐちゃんなっても動き続ける…って」





「なるほど、その【暴走した失敗作】を殺す為に武器がたくさんある、と」


「私も、聞いたことあるよその話。レナやロミみたいな気が強い【失敗作】よりも穏やかに過ごしていた【失敗作】の方がショックに弱くて暴走しちゃう…って話」



「僕らには関係ないじゃん！だって僕がいる時点でもう穏やかじゃなーい！！」


「自覚してるんだったら気を付けようね」

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