第6話 ページ9
『ん〜……ダメだ、見つからん』
分厚い本をパラパラめくっては棚に戻す。これでもう何度目だろう?
帰る方法を見つけるため、図書館で手当たり次第に資料を探してはみるものの…手がかりはゼロ。
パルデアの「パ」の字もなければ、ポケモンの「ポ」の字もない。
本当に、ここは俺の知らないまったくの別世界なんだって、改めて実感させられる。
『…にしても、この前は酷い目にあったなぁ。』
フロイド…だっけ。あのクレイジーな先輩。
奴ら(モブ寮生)みたいに罵倒されたわけではないが、先の読めない行動に翻弄されてばっかでとにかく……疲れた。
「仲良くしよーね♡(目が笑ってない)」って言われたけど…はっきり言ってノーサンキュー。あれ以来、できるだけ中庭を通るのを避けるようにしてる。
早く元の世界に帰りてぇ……でも、帰る方法が見つからない…………ぁ〜〜もうっ!!!
頭をガリガリしていると、いつのまにか時間が過ぎていることに気づく。
『もうこんな時間か…一旦寮に戻ろうかね。』
うちの可愛い可愛いぽんが、お腹を空かせて待ってるはずだ。
俺はちゃっちゃと資料を片付けてオンボロ寮へ向かった。
〜オンボロ寮〜
『うぃー、やっとついた……
??』
玄関の扉を開けた瞬間、なんとなく違和感をおぼえる。
廊下に置いてある家具…あんな場所にあったっけ?それに、昨日掃除したはずの廊下が汚い。
…よく見ると足跡がついている。
……まさか。
………留守中に、誰かが勝手に侵入したとか…??
嫌な汗が流れてくるが、立ち尽くしている場合じゃない。
俺は迷わず廊下に立てかけてあったほうきを取り、足跡を辿っていく。足音を立てないよう、慎重に…。
その足跡は…自室まで続いていた。
『誰か知らんが……待ち伏せてんなら返り討ちにしてやるっつーの…!!』
俺はほうきで身構えつつ、乱暴に扉を蹴開いた。
『なっ………なんっっじゃこりゃ!!?!?』
目の前に飛び込んできたのは、待ち伏せていた寮生ども……ではなく、徹底的に散らかされた部屋の残骸。
壁中にラクガキしてたり、布団がくしゃくしゃになってたり…??
なんか……思ってたより地味な嫌がらせで、一気に全身の力が抜けた。
______のも束の間。
『……あれ??』
とある重大なことに気がつき、再び血の気が引く。
どこにも、ない。棚の上にも引き出しの中にもキッチンにも、どこにも。
『な、ない……
モンスターボールがないっ!!!』
24人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:フリスク18 | 作成日時:2023年11月12日 0時