第3話 ページ6
「あのさぁ、さっきからモゾモゾ動くのやめてくんね?巻きづらいんだけど。」
『……………』(放心状態)
…………なぜ?
なぜ俺は今、得体の知れない大男の膝の上で手当てを受けているんだ??
……話は数分前に遡る。
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モブ上1「絞められてたまるか!!逃げるぞ!」
モブ上2「お、おい待ってくれ〜!」
恐れをなしたのか、上級生どもは光の速さで逃げ出した。
いったいどんな奴が来たのかと目をやると、そこにいたのは…俺の想像を遥かに超える存在感を放つ男。
メッシュの入ったターコイズ色の髪、オッドアイのタレ目、着崩された制服。そして何より………デカい。
何センチあるんだ??俺と頭一個分は違うな…
こんな大柄な男に脅されたら、そりゃあいつらも逃げ出すわけだ…ていうか俺も早く逃げないと。
俺はよろよろと立ち上がり、1秒でも早くその場を離れようとした。
「ねぇ。」
……が、そういうわけにはいかないようで。
『…俺ですか?』
「は?お前しかいねーじゃん。助けてやったのに礼も言わないの?」
…助けてくれてたんかい。わかりづらいよ!
口元は笑ってるが、目つきや声色から明らかに気を悪くしてるのが伝わってくる。……怖すぎる。
『えーと……あぁ、助けてくれてありがとうございます。』
「ふはっ。言わされてる感すげ〜」
そう言ってふにゃっと笑う姿は、どことなく幼い雰囲気もあって。変な…いや、不思議な人だな。
『じ、じゃあ、俺はこれで…』
笑ってるうちに今度こそ離れようと試みたが、すかさず首根っこを掴まれ「ぐえっっ」とマヌケな声が出てしまう。
『な、なんすか…!?』
「そこ。腹んトコ。ケガしてんの?」
『へ…??』
予想もしなかった発言に唖然とする。
…まあ、まだやることあるし、早いうちに手当てしといたほうがいいのかな。
『あのー…傷の手当てしたいんで、保健室の場所教えてもらえませんか?』
「えーヤダ。なんで俺が教え……」
やっぱりダメか…しゃーない、自分でテキトーに探して……??
なんか、もの凄い視線を感じるような…
「…いいよ〜教えてあげる。中庭でサボるより楽しそーじゃん。
ほらァ、こっちだよ。いっしょにいこ?」
突然乗り気になったかと思うと、ニッコリ笑顔で俺の背中をぐいぐい押してきた。
つ、ついてきてくれとは言ってないんだけど…
はぁ…なーんかイヤな予感がするなあ…。
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作者名:フリスク18 | 作成日時:2023年11月12日 0時