. ページ9
.
たくさんの人の流れに逆らって
元来た道を走る。
途中で何度も躓いて、その度に涙が溢れそうになる。
.
ブチっ
.
.
.
嫌な音が響いた瞬間、前のめりになった私の体は思いっきりバランスを失った。
派手に転んだ私に手を差し伸べてくれる人なんていない。
せっかく気に入ってた下駄の鼻緒、切れちゃった。
何もかもうまくいかない。
…ううん。本当はうまくいってると思っていたの。
大好きな人と二人でお祭り回って、一緒に花火が見れるなんて、って。
.
.
ちょっと欲張りになった瞬間、全てがうまくいかなくなった。
.
「…っ」
.
そんな自分が憎くて、涙が頬を伝う。
.
.
.
.
.
.
「…!Aちゃん?」
.
.
.
.
しばらく転んだままうずくまっていたら
グイッと私を引き寄せる力強い腕。
急に掴まれたことに驚いて、顔を上げたら
そこにはいるはずのない千賀くん。
そしてその隣には、連絡のなかった美香。
.
「え?高嗣は?!」
って連絡しなかったことを詫びもせずに聞いてくる美香の顔を見たら、更に涙が溢れた。
.
.
「千ちゃんAをお願い。あたし高嗣探してくる!」
.
.
勢いよく飛び出して行った美香は、きっと誰よりもイケメンで誰よりも男気がある。
でもね、二階堂くんには彼女がいたんだよ。
だから、探したとしても無駄。
きっと美香も泣きそうな顔で戻ってくることになってしまう。
.
.
また思い出す、綺麗な彼女。
勝ち目なんて私にはないことわかってる。
戦う気力ももうないぐらい、ダメージはマックスだ。
.
.
.
人の少ない境内の裏。
千賀くんが隣に座って頭を撫でてくれる。
.
.
「二階堂は?」
「…知らない」
「知らなくないでしょうよ。なんで1人なの?」
「…言いたくない」
「なんで?」
.
.
言いたくないって言ってるのに千賀くんは容赦なく質問責めにしてくるから無自覚で意地悪だ。
.
.
「…千賀くんのバカ」
.
バカバカバカ。
千賀くんが約束の時間通りに現れてたら、
二階堂くんと私を二人きりにしなかったら、
綺麗な彼女が登場しても
なんとか笑えてたかもしれないのに。
バカ、バカやろう。バカ。
.
.
219人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニカみー - いつもTwitterでも楽しませて頂いてます。更新楽しみにしてます!続きめっちゃ気になります… (2020年1月2日 19時) (レス) id: 2fae4f1faf (このIDを非表示/違反報告)
nika(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです。ドキドキします。更新楽しみにしてます。 (2019年9月2日 21時) (レス) id: 56b2cdb893 (このIDを非表示/違反報告)
ありぴろ(プロフ) - こつ姉ニヤニヤしたよありがとう(´nωn`) (2019年8月19日 19時) (レス) id: a8ba9e0a35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コツメ | 作成日時:2019年8月18日 19時