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恋人同士になれたという実感が沸かないまま
2人で美味しいすき焼きを平らげる。
食いしん坊の俊哉くんは白米おかわりしてるし。
こんな高そうでオシャレなお店に来て、白米おかわりするその姿すら可愛いと思えてしまう。
デザートが運ばれてきて堪能した後、
一息ついた私に、俊哉くんはこう問いかけた。
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「この後どうする?」
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コノアトドウスル…?
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「この後どうするって…」
息を呑む。
恋人同士になれた=つまりはそういうことだ。
付き合った初日から、なんて田舎者の私は早いと思ってしまうけど
東京の人からしたらそんなの当たり前なのかも!
目の前に大好きな人。
やっと今日両思いになれた。
今日を思い出に残したい。
私、俊哉くんと、したい。
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「ホテル、行こう?」
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言って、一気に恥ずかしくなった。
視界がグラグラ揺れて変な汗が出てくる。
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「あの、っえ?!Aちゃん?!」
俊哉くんもそんな私の発言にキョドってるし!
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「いや、すぐ帰るの寂しいからちょっとこの後お酒飲み行かないかな〜って思ったんだけど…」
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それを聞いて次は私がキョドる番。
「えっ?!…やば、恥ずかしっ///」
"勘違い"。
頭に浮かぶ大きな文字。
私、なにホテル行こうとか誘っちゃってんの?
ただのビ ッチじゃん!
恥ずかしくて両手で顔を覆ったら、
キョドるのをやめたらしい俊哉くんの優しい声が降ってきた。
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「可愛すぎて、心臓痛い。…抱きしめていい?」
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私の隣に移動してきた俊哉くんが
私の返事も待たずにふわっと抱きしめてくれた。
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頭ごと抱きしめられて、俊哉くんの顔は見えないけど、その方が私は素直になれる。
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「俊哉くん、ごめんね」
「どうして?」
「私、勘違いしてて…恥ずかしいこと言ってしまいました…」
「…すごい可愛かったよ。逆にさ、Aちゃんは付き合ってすぐに、なんて嫌じゃないの?」
「嫌じゃない。俊哉くんだから。」
「…やばいなー」
「やばい?」
「愛おしすぎてね(笑)」
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ゆるっと離された体。
俊哉くんが私の頬を手で包んで
「行こっか。」
って微笑んだ。
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作者名:コツメ | 作成日時:2019年6月10日 22時