繋いだ手12

仕返し？ ページ16

西島side


西「ごちそーさま！」


残っていたカフェオレを飲み干し、パンと手を合わせると使った食器をシンクに持っていく。


あ「西島くんありがとう。
　 置いといてくれていいからね。」


西「今日もありがとね。」


與ん家で世話になるようになってから、毎日出てくる美味しいご飯が本当にありがたい。


それに洗濯から何から何までしてもらっちゃってAちゃんには感謝してる。


ご飯を食べ終わると自分の頭に手をやり、凄い寝癖であることを確認する。


あちゃー、これシャワーしねーとなおんねーな。


西「與、先にシャワー借りるぞ。」


真「ちょっと待った、俺が先入る！」


西「お前朝出るのに余裕あるんだからいいじゃ
　 ん。」


ちらりと時計を確認すると、俺にはあんまり時間が残されていないことがわかって。


というのも、俺は実彩子と愛しい息子がいる病院に顔を出してから会社に行ってるからだ。


真「俺先入る。」


いつもは俺に譲ってくれるのに、何故か断固と譲らない與。


あ、もしかしてさっきじゃんけんに負けたの根に持ってるとか？


西「少しでも早く病院行きてーの。」


真「お前入らんでもええやん。」


西「この寝癖どうすんだよ。」


真「誰も気にせえへんて。」


西「俺が気にすんの！」


まだ譲ってくれない與と押し問答をしている間にも、時間はこく一刻と過ぎてゆく。


あ〜もう時間なくなるじゃねーかよ、せっかくの家族水入らずの時間なのに。


すると静かに洗い物をしていたAちゃんが一言。


あ「2人で一緒に入ればいいじゃない。」


西「へあ？！」


いつもなら與を諭してくれるAちゃんの意外すぎる、というか予想もしなかった言葉に変な声を出してしまった。


そういや與とは長い付き合いになるけど、裸の付き合いはしたことねーな…なんて変なことが頭をよぎるけどさすがにそれはねーわ…。


なんて思いながらちらりと與に目をやると赤くなってる耳。


なんでこいつ赤くなってんの？
俺まで恥ずかしくなるじゃん！


あ「何本気にしてるの？冗談に決まってるじゃな
　 い。2人して赤くなっちゃって変なの笑」


Aちゃんに悪戯っぽい顔で笑いながら言われる始末。


真「西島、先入ってええよ…。」


西「お、おう…。」


何となく気まずい気持ちでバスルームに行くと頭からシャワーを浴び、あ、もしかして俺、Aちゃんに仕返しされた感じ？なんて思ったのは言うまでもない…。

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