繋いだ手10

約束しよう ページ11

真司郎side


真「ほんまに興味あるんやったら、いつでも俺が
　 教えたるで。」


あ「んー…でも真司郎いるし、」


真「迷子になった時はどうするん？
　 A方向音痴やん、」


Aは、しっかりしてそうで実はそうでもなく、方向音痴。


USJ行った時も、地図見てるにも関わらず、目的のアトラクションの方向と真逆に行こうとしたことがちらほら。


俺がずっと隣におるし、手を離すなんてことは絶対、絶対にありえへんけど。


さっきのこともあるし、もしそうなったらと、もしもの事を考える。


からかいと冗談半分で言って隣を見ると、Aと視線が絡んだ。


あ「私、迷子にされちゃうの？
　 ずっと手、繋いでてくれないの？
　 この手…離しちゃうの…？」


心細そうな声と、その顔は眉尻を下げて悲しそうな表情をする。


あ…これ、あかんやつ、俺はAのこの顔に弱い。


その時きゅ、と握られた手に、胸の奥がきゅうと音を立てた。


真「…なさん、」


あ「え？」


真「離さん、絶対離さへん！」


思わず大きな声が出てしまう。


それを聞いたAは、さっきまでの表情とは打って変わって、にこりと微笑むと


あ「うん、わかってた。真司郎、ずっと離さない
　 ってあの日、約束してくれたもんね？」


真「A…俺の事試したやろ、」


あ「ふふ、」


と笑いながらペロ、と舌を出す。


…やられた。


真「今の絶対試したやん！」


あ「えー？なんのこと？」


棒読みで言ったAに、首元に腕を回して後ろから抱きつき、背中にのしかかる。


あ「真司郎重い！潰れちゃう！」


真「俺を試したAが悪い！」


あ「ごめんってば！許して笑」


真「許さへーん、もう今からずっとこうしと
　 く、」


さらに体重をかけてのしかかり、そのまま歩き出す。


あ「歩きにくい笑」


真「離さへんって言うたやろ？」


あ「そんな事しなくても、私も離れないよ。」


嬉しそうな顔をして言ったAはくるり、と向きを変えると、触れた唇。


あ「私もあの日、約束したもん。何があっても
　 ずっと離れない、って。」


あの日、想いが繋がった日、俺達は約束をした。


あ「もっかい、約束しよ？」


差し出されたAの小指に、絡ませた俺の小指。


それを見て、笑い合う。






何度でも約束しよう。


何があっても、この手は離さない。

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