繋いだ手10

間違えちゃった…。 ページ12

あなたside


花「與さん、こっちです！」


真「想太、久しぶりやなー！」


食欲をそそる香りが広がる店内。


会わせたい人がいるからと、真司郎が連れてきてくれた韓国料理店。


そこは、真司郎がよく通っていたお店で、末吉さんともよく来ていたらしい。


真「A紹介するわ、俺の後輩。」


花「初めまして、花村想太です。」


笑顔が爽やかで、なんだか可愛らしい人。


あ「始めまして。
　 A…じゃないや、與Aです、」


思わず間違えてしまった。


私はもう與Aになったんだから気を付けないと、と思うけど、まだ実感もあんまりない。


それと胸の中がくすぐったく感じて、顔が緩みそうになってしまう。


すると


真「A、そこは間違えたらあかんとこやん、」


すかさず言いながら隣の真司郎が眉をひそめる。


あ「だ、だって、まだ名前が変わってから一週間
　 も経ってないんだよ？」


名前が與Aに変わってから、まだ一週間足らず。


それに、名前を言う機会なんてまだなくて、間違えてしまうのも無理はない…。


真「もう一週間やん、慣れてくれな困るんやけ
　 ど？」


あ「だってまだフルネームで呼ばれた事もない
　 し、」


真「これから呼ばれるようになるんやし、」


あ「それはそうだけど…、」


真「もう間違えんといてや、奥さん。」


あ「う、うん///」


2人でそんな事を話していると


花「あのー…俺の事無視すんのやめてもらえま
す？」


少し呆れ顔で突っ込まれてしまった。


これは私と真司郎の悪いところだ。


みんなの前でもよくやってしまって、今ではみんなわかっているから、放っておかれることが多いけれど…。


真「悪い、忘れとったわ笑」


花「ちょ！酷くないすか？！」


あ「ごめんなさい笑
　 改めまして、與Aです、」


笑顔で答えたけれど。


やっぱりまだ、胸の中がくすぐったい。


これから少しずつ、慣れていかなきゃね？

はぁ？→←約束しよう

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す