末裔 沖田side ページ33
それは二人組の男の声であった。声が聞こえた方向に視線を向けると、こちらをチラチラと見ているソイツらを発見した。俺達が歩いている方向と同じ方に歩いているようだ。街はいつも通りに人で溢れ返っているのに、それと同時に人の声がザワザワとしているというのに、どうやら俺の聴覚は普通の人間を超越しているらしい。討ち入りやら何やらと戦場に足を踏み入れるに当たって、聴覚はとても重要な役割をもっているため当然と言えば当然だけれど。その声の主を探し当て、ソイツらの視線を追う。やはりどう見ても俺達のことを見据えているように俺には見える。が、俺達、とはいえその二人の視線はどうも、Aへと向いているらしく。
Aの話に頷きながら、歩きながらにソイツらの会話を盗み聞く。「なんだろ、わざとらしくない感じがスゲェいくね?」「ナチュラルってーの?控えめなイメージだわ」と。その二人組は語る。
そんな会話を聞いて、俺は隣で両手を忙しなく動かしながら一生懸命に喋っているAに目を向ける。
「レストランでもハンバーグにエビフライが一緒になってるものをよく頼むんですけど、やっぱりエビフライを食べる順番もすごく悩みます…」
「あー、それな」
男共の会話を耳にしつつ、Aの話もしっかりと聞き取ることが出来る俺はもしかしたら聖徳太子の末裔なのではないかと思う。好きなものを最後に取っておきたいAは、エビフライも最後に取っておくのだそうだ。
そんなAは今日、いつもはあまりしない化粧をしていて、確かにそれは江戸に蔓延る女共とは違い、薄いもので纏めていて、所謂ナチュラルというものなのだろう。Aは化粧なんて必要ないくらいに可愛いが、そのナチュラルな雰囲気で周りがふわふわとしているように見える。俺ビジョンではそう見えている。
男二人組の会話は続く。俺はそれを聞き取り続ける。
「つか、おしとやかそうなのに格好とのギャップ…!!」
「そうそう、しかもなんか……太ももえろくね……ってヒイイ!?」
…と、男の片方はそんな悲鳴を上げる。ペラペラと喋りすぎて舌を噛んだのかもしれないし、俺がきかせた睨みに気付いたのかもしれない。恐らく後者で間違いないだろう。俺は現在進行形でこれ以上ない殺意を込めた睨みをソイツらへと向けていた。
「や、ヤベェ彼氏いた…!!聞かれてた…!!超睨まれてるヤベェ…!!」
「い、行こうぜ…!」
俺の視線に怖じ気づいたらしいソイツらはくるりと方向転換しては江戸の人混みへと消えていった。
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☁️🫧 - 見ているとき、めちゃめちゃニヤニヤしてました。沖田くん最高すぎる。喋り方難しいのにちゃんとおかしくないように書いていてすごいですすごいです!尊敬します✨ (6月14日 21時) (レス) @page15 id: bf1038f04d (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - 朝から読みふけりました(笑)やはり主様は最高です! これからも頑張ってください! (2018年5月1日 7時) (レス) id: c96dee9e6b (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - しおからさん» お忙しい中来てくれてありがとうございます!!来られなくなっちゃうんですか…寂しいですが、またしおからさんに会えるようにこれからも頑張っていこうと思います!迷惑だなんてとんでもないです!!また話しかけてくださいね^^ (2018年4月30日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 白桃餅子さん» ありがとうございます^^ 体力がなくなる…!!それは大変だ…!!読んでゆっくり休んでくださいね(笑 (2018年4月30日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
しおから - ごめんなさい!ぜんぜん来られず…見たい気持ちもいっぱいなんですが、実は、かなりの間来れなくなりそうです…皆様のコメント欄で、私情ですいません。ピピコさん、またきっと来ます! 迷惑かもしれませんが、きっとまた来るので!更新頑張って下さい!失礼しました!! (2018年4月28日 23時) (レス) id: 1423f5ea5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2018年4月5日 18時