念願 ページ18
「…ッ、」
「…やっと出来たな」
と。少し目を丸くさせている私に沖田隊長は言った。私と繋いだ手をヒョイと私の腕ごと持ち上げて、満足げに見据えながら。目的をやっと達成できたと言う風な表情を浮かべて。いつになく彼は嬉しそうに見える。私はというと少し困惑ぎみであった。彼が私の手を繋いだことが、その上恋人繋ぎなんてものをしたことが嫌なわけではない。それだけは言っておこう。彼が私に触れてくれるのに、嫌だなんてことを思うわけがない。拒絶する理由なんて何もないのだから。ただ、慣れないことに戸惑っているだけだ。手のひらから伝わるように、熱が身体中に回って、顔が赤くなってくる。
沖田隊長は私の手をきゅっと握って、続ける。悪戯っぽい、彼にしては無邪気な笑みを浮かべて。
「ずっと、こうしたかったんだよねィ」
「…そうなんですか？」
「前は出来なかっただろィ」
前。そう言われて、以前に彼と仕事以外で二人きりになった時のことを思い出した。それは、私が彼への想いを自覚した日で、その気持ちを彼に伝えた時のことだ。雨が降っていて、雨の音が私達を包み込んでいて、そんな中で私は彼に好きだと告げたのだ。あの日を思い出すと、一緒に雨のにおいや、彼の体温も甦ってくるようだった。一世一代の告白だった。大袈裟ではない。
そうだ、その時は雨が降っていたから。沖田隊長は私が真選組になるよりも前に私が彼に渡した傘を持ってきていて、彼は傘を手に持っていたから、手を繋ぐことは出来なかったのだ。不満そうにぼやいていたのを思い出した。
仕事で二人きりになることは今までにもあった。むしろ毎日だと言ってもいい。けれど、仕事中に手を繋ぐことなんて許されない。勤務時間にイチャつくなんて、あってはならないことだ。彼はよく、見回りの途中などに手を繋ぐことを迫ったけれど、それに私は首を振り続けていたのだ。
どうやらこれは、沖田隊長の念願だったらしい。
「この繋ぎ方したら、お前が照れるの見てとれたし」
「…こっ、これくらい、何てことないですもん」
「へェ？」
にしては顔真っ赤だけど、うるさいです、なんていう会話をしながら、私達は歩き出した。ゆっくりと。一秒一秒と過ぎていく時間を丁寧に、大切に過ごすように。
…彼の手のひらは暖かくて、私のものよりも一回り大きくて、意外にも逞しくて。
(…男の人だなぁ、やっぱり)
そんなことを、ぼんやりと考えていた。
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☁️🫧 - 見ているとき、めちゃめちゃニヤニヤしてました。沖田くん最高すぎる。喋り方難しいのにちゃんとおかしくないように書いていてすごいですすごいです！尊敬します✨ (6月14日 21時) (
レス) @page15 id: bf1038f04d (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - 朝から読みふけりました（笑）やはり主様は最高です！ これからも頑張ってください！ (2018年5月1日 7時) (レス) id: c96dee9e6b (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - しおからさん» お忙しい中来てくれてありがとうございます！！来られなくなっちゃうんですか…寂しいですが、またしおからさんに会えるようにこれからも頑張っていこうと思います！迷惑だなんてとんでもないです！！また話しかけてくださいね^^ (2018年4月30日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 白桃餅子さん» ありがとうございます^^ 体力がなくなる…！！それは大変だ…！！読んでゆっくり休んでくださいね(笑 (2018年4月30日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
しおから - ごめんなさい!ぜんぜん来られず…見たい気持ちもいっぱいなんですが、実は、かなりの間来れなくなりそうです…皆様のコメント欄で、私情ですいません。ピピコさん、またきっと来ます! 迷惑かもしれませんが、きっとまた来るので!更新頑張って下さい!失礼しました!! (2018年4月28日 23時) (レス) id: 1423f5ea5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2018年4月5日 18時
