☾ ページ4
*
今日は二本撮り
一本目はゲストとも話が弾み、大いに盛り上がって終えられた
…のだけど
元々口数は差程多くはないが
明らかに藤ヶ谷の様子がおかしかった
ほとんど喋らず、時にカメラに映ってないところで一瞬眉間に皺を寄せ何かに耐えてる様な表情を浮かべていた
(彼奴、また体調崩して我慢してんじゃ…っ、)
過去にも何度か見た光景
その度、「無理するな。体調悪い時は悪いって言え」と
俺が難しいなら横尾さんでも他のメンバーでもスタッフさんでも、
正直に伝えてくれと言ってきたのに
(…ったく、相変わらず強情だな、)
ふらり、と危うい足取りで何処かに向かおうとする藤ヶ谷の背中に声を掛けた
「藤ヶ谷」
気付くかどうか程度に微かに肩が揺れ、その足が止まる
「お前、今日体調悪いんじゃないか?大丈……っ、」
……パシっ、
前に回り込む形で少し上にある顔を見上げながら紡いだ言葉は、ほぼ無意識的に藤ヶ谷へと伸びた手が払われる事で最後まで言い終える前に止まってしまった
「…………ぇ、っ………」
思わず零れた声
所謂、仕事の場で恋人同士の甘いスキンシップを求めた訳では無い
あくまでメンバーとして、身体を支える為の行動だった
それを今、明らかに、拒否されたのだ
「………っっ、」
そして自分へと向いた彼の目はまるで、昨夜見た夢の中で別れを告げてきた時と同じ
冷たさしか感じない色を纏っていた
ドクン、と心臓が大きく跳ねる
「…何でもないから、」
一言だけ紡がれたその声もまた夢と同様に低く響く
藤ヶ谷の態度も、今この状況も何一つとして飲み込めない
何か言わなきゃと頭では分かっていても、言葉が出てこない…
すっ、と視線が外れ
そのまま歩いていってしまう背中を動く事も出来ずに見つめるしかなかった
_
480人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時