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寝待月 ページ12

*




「お疲れ様」

「お疲れ〜」

「お疲れ様ー!」




カチン、と三人分のグラスが触れ合う音が響く

そのまま良く冷えた液体を流し込めば、火照りが残る身体を程よく冷ましてくれる様で心地良い




「三人でお風呂もだけど、ご飯来るのなんて久しぶりだね」




ニコニコ彼らしい笑顔を浮かべながら宮田は何処となく楽しそうだ




「お前らが仕事後の俺を半強制的に連れて来たんだろ」

「だっておチビさん、昨日あんなに泣いてて寂しそうだったからさ。今日も家に帰って一人シュンとしてんのは可哀想だなー、て誘ってあげたんだよ。感謝して?」

「誰がチビだ。 てか、家で一人だからってそんなんで一々寂しがったりなんてするか」

「えー?ほんと〜?」

「おいこら、玉森」

「まぁまぁ二人共」




普段と何も変わらない軽口の叩き合い

「仲良しだなぁ」なんて、何処かのんびりした宮田の声

昨日の今日でも重い空気を引き摺らないで済むのは本当に有り難かった



昨日あの後散々泣き、僅かながらに気持ちが軽くなれた事で収録は何の問題も無く無事に終えられた

相変わらず仕事中でも必要最低限しか藤ヶ谷と言葉を交わすことはなかったが、彼奴も彼奴で楽屋に来た時よりは幾分か顔色が落ち着いていた様子に少しでも休めて良かったと安心する辺り、結局頭の中は藤ヶ谷の事で一杯なのだと

避けられ、冷たい態度を取られようと彼奴を嫌いになんてなれる訳ないのだと、思い知らされるみたいでなんとも情けない自分に自嘲を零したのは言うまでもない

ただ、まだまだ正直心配は残るものの今は直接顔を合わせるのも少し怖かったりする

だから今日が一日ソロでの仕事のみで助かった

目の前のやるべき事に集中していればせめてその間は考えなくて済むから

相変わらずあの夢は毎日の様に見るし、段々と鮮明になっていく様も仕事と向き合っている時は忘れられるから

その方が圧倒的に都合が良いのだ




「ま、昨日二人には迷惑かけちまったし今日は俺が奢るから。好きな物何でも食って」

「わ、ほんと?キタミツありがとう」

「宮田、一番高い物どんどん頼め」

「いいけど腹壊すなよーお前ら(笑)」




今日最後の仕事終わりに合わせて届いた連絡と、いつの間にやらテレビ局まで来ていた二人に有無を言わさず連行され銭湯とサウナでさっぱりしてから今に至る




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☾→←☾



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kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時

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