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ページ20

*




クローゼットに入ってるパーカーやジャケットもそうだ

服にそこまで拘りが無い俺とは違い藤ヶ谷は兎に角お洒落




"北山に似合うと思って"




幾度と無く与えられるプレゼントに誕生日でも無いのに悪いから、と断っても聞かなかった




"俺があげたいんだから良いの"
"照れて喜んでくれる顔が好きなんだ"




時間も言葉も、それこそ物だって

いつも藤ヶ谷は惜しみなく与えてくれていたと思う

無償の愛

とでも言うのか




"北山はずっと俺の隣に居てくれるだけでいいんだよ"




見返りなんか要らないと

一緒に二人で居られるだけでいいと




"俺のこと好きで居てくれるだけでいい"




それだけで幸せなんだと笑っていた優しい笑顔

果たして、俺はその愛に、どれだけ応えてあげられていたんだろう

どれだけ想いを伝え、返せていたんだろう

…もうそれを確認する術は無い




「……ごめんな、藤ヶ谷…。 俺、きっと、お前のこと幸せに出来て無かったのかもな……っ」




自分ばかりが与えられ、幸せを貰っていたばかりだった

完全に甘えていた

だから来てしまった最悪の未来

自業自得

飽きる程した後悔をまた更に重ねても何かが変わる事はもう有り得ない




「…でも、俺は幸せだった…。二人で一緒に過ごせて。本当に、幸せだったよ……」




荷物を取りに来ただけで、出来る限り他の物には触れず痕跡も残したくは無い

ポケットから出したカードキーに視線を落とし強く握りしめる



これで、全部、終わり



手を開いてベッドすぐ横のサイドランプの元へとカードキーを置いた

…指先が微かに震えている感じがしたのはきっと気の所為

目的は果たした

寝室を出ようとするとふと、隣の棚の上に並べられたくまのぬいぐるみが視界に入る

仲良く、お互い頭がそれぞれの方へと僅かに傾いてる様にも見える

いつか、仕事の後に藤ヶ谷に懇願されこっそり二人で行った某夢の国

そこでしか買えないくまなのだと、可愛い物好きの彼奴が嬉しそうに選んでいた二匹だった




"いいじゃん、お互いにお互いの代わりとして持ってようよ"
"いいって。俺こういう可愛いもの置いとく様なキャラじゃねーし"




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☾→←☾



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kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時

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