ぼくらのせんせい。 s×s

#15 ページ16

＊



翔 ｢ふふ、さとしくん。いいよ？
そんなにぎゅって目を閉じなくてだいじょーぶ。｣


智 ｢…っ…｣


翔 ｢さとしくん、こっちむいて？｣


智 ｢…っ…｣


翔 ｢ふふ、大丈夫だよ。ね？｣


智 ｢………。｣


翔 ｢痛いところは少し大きなむし歯になってしまってるけど…

他はね、小さい虫歯だから、
絶対に痛いことないよ、大丈夫｣


智 ｢…いたい…とこは…いたく…なる？｣


翔 ｢んー…どうだろう。
…さとしくんの体質にもよるんだ。お話したもんね。｣


智 ｢こくん…｣


翔 ｢ふふ、みせてくれてありがとね。
…凄くうれしいよ。｣


智 ｢…れしい…？｣


翔 ｢うん、うれしい。｣


智 ｢め…わく…なのに…？｣


翔 ｢迷惑なんかじゃないよ。
うれしい。すごくうれしいな？｣


智 ｢ん…っ…こ、わかった…っ…｣


翔 ｢はは、さとしくんらしい。
…なんで終わったあとに泣くのさぁ。｣


智 ｢しょ、くん、も…
はいしゃさん…ちがう…から…っ…｣


翔 ｢はは、そうだね。
すこしは安心した…？｣


智 ｢こくん…｣


翔 ｢ふふ、よかったよ。｣



痛いところ以外にも
治すところがあるのはわかった。

ただ、痛いところ以外は痛まないで治せそうで一安心。



翔 ｢ふふ、智くん、歯磨き頑張ってるんだね？｣


智 ｢こくん…
はいしゃ…なるべく…いきたくない…から…｣


翔 ｢そうだよね。
…そういえば、いつから歯医者行ってないの？｣


智 ｢…いつ…かな…。

高校ぐらい…かな…？｣


翔 ｢そっかそっか、
もう10年以上行ってないんだね。｣


智 ｢うん……｣


翔 ｢ふふ、大丈夫だよ。ね？｣


智 ｢こくん。｣




それから、
少しずつ、見せてもらいながら。


智くんと一緒に歯をのぞいてみたり。

智くんの歯を磨いてあげたり。


そんなことを繰り返した。


今は進行止めを塗っても嫌がらないほどに。


そろそろ、歯医者にも来てほしいけど。


どうかな…

焦って、振り出しに戻ることだけは避けたいんだ。





＊

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