愛の監獄 【ヤンデレ】【太宰治】

逃走 ２５ ページ25

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あれから車内の時計では２０分



結構遠くまで車では知り続け、あまり見覚えのない建物が並ぶ





「着いたよ。





おいで？」





車を降りれば、少しだけ香る潮



わりと海沿いなのだろうか？

海沿いであればポートマフィアの縄張りでは……？





「私が次の仕事を見つけるまで、ここで住もう



ここは元々私がポートマフィアにいた時に買っておいた別荘なのだよ



誰にも言っていないし、まさか私がポートマフィアの縄張り内にいるなど思いもしないだろうね」





クルクルと回る思考に圧倒されながらも、彼の後ろを小さくついて行く





周りには結構な建物が並んでおり、人も多い



前に住んでいた所と同じくらい賑やかな場所が横浜にあったなんて知らなかった





人の間をくぐり抜け、迷子になってしまわぬように彼の背中を必死に追う





『…迷子…？』





"迷子"



彼は振り向かない

彼も前に進むだけで精一杯なのだろう





今なら





"逃げられる"





・





『っはあ…っは…！』





あれからどれ位走ったかわからない



ずっと家の中でろくに運動もせず過ごしていたせいでかなり体力が落ち、走るのだけでも足がもつれそう





それでも



今しかないと、思ったから





彼が私を唯一見落とした今しかないと思ったから、逃げたんだ





『そう、だよ…見落とし、て…？』





もしかしたら彼はわざと見落としているのかもしれない

あんなに縛り付けていたのに、こんなに簡単に離れられる余裕を作るだなんて彼にとって有り得ない



ならば、これは仕組まれている





『陽が…っは…』





そんな事はもうどうでもよかったんだと思う



自分でもわかってた、仕組まれてるかもしれないこと位





でも





中也に、会いたいから

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