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「失礼しまーす、ぺ神くんいる？」
「こんにちは、Aちゃん、待っとったよ」
コンコンコン、と三回のノックから、ドアが開く音が聞こえた。そしてこの城内では滅多に聞かない声が俺を呼んでいた。
グルッペンや他の皆が溺愛しているAちゃん。
彼女は俺を確認するや否やパアッと顔を明るくし、近くへ寄って来た。随分と久しぶりにみる彼女の顔は、昔の面影を残しつつもふとした仕草などが女性のものとなっていて、少し寂しい気持ちがあった。
「いつも薬草ありがとうね、助かっとるよ」
「ううん、いつも直接渡せなくてごめんね」
彼女は大きいリュックを直接、俺に手渡した。
彼女が育ててくれた薬草などの取り引きはいつもゾムか大先生を通してが多い。俺が直接行ければいいのだけど、何如せん軍医なのでここを離れることができない。
「回復薬、とても助かっとるんよ。何故かAちゃんが作った薬はほんまに治りが早いみたいで、兵士のみんなにも好評なんだ」
「え〜ほんとに？…んふふ、嬉しいなあ」
彼女は当然だ、と言わんばかりにドヤ顔をした。
彼女が丹精込めて育てた薬草を使っているのだ、直接は見たことが無いが、この薬ひとつ作るのに時間と手間がかかっただろう。
彼女が同じ職場にいたら、
どれだけ心強かっただろう。
そんな言葉は呑み込んで。
「今日はどうしてお城に訪ねてきたん？」
「…グルくんと話したいことがあって」
はたと彼女の横顔を見ると、
いつになく真剣な表情をしていた。
「…………告白？」
「…はは、こんな戦争の最中にはしないよ」
うん、知ってる。彼女は平等にみんなが大好きだからきっとそれはしないって。
彼女の顔に笑顔が戻り、俺も自然と笑顔になる。
「あ！このあとエミくんに本返さないとだから、私いくね」
時計を見た彼女はハッとし、ぱたぱたと慌てて
この部屋を出ていった。
「ぺ神くん！また今度！」
「は〜い、またね〜」
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まちや。(プロフ) - Yuik111400さん» うわあ！素敵なお言葉ありがとうございます！！そう思ってもらえてなにより嬉しいです！！ (2019年4月21日 11時) (
レス) id: e16223c2be (このIDを非表示/違反報告)
Yuik111400(プロフ) - あれぇ？視界がボヤけてる...この作品凄くよかったです。声を殺して泣きました。こんな素敵な作品に出会えてよかったです。ありがとうございます！ (2019年4月20日 0時) (レス) id: d5c9d61335 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まちや | 作成日時：2019年2月3日 6時
