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片想い ５５ ページ5
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だけど、今のAにとって、音楽の存在は自分の首を絞める存在である事は確からしい。
「おいAっ！！どういうことだよっ！！」
「何が？」
「吸血鬼ヤローに聞いたんだよっ！！お前、【軽音楽部やめる】って本当かよっ！？」
Aの肩を荒々しく掴み、一方的に乱暴に言い放つ晃牙。
慌てて、俺や嵐が止めに入るも、晃牙は落ち着かない。
けれど、俺たちも内心戸惑っていた。
「Aちゃん、今の話は本当なの？」
嵐が、優しく問いかける。
Aは、言った。
「うん。辞めるよ」
その場に似つかわしくない、笑顔を見せて。
まるで、晃牙を煽っているみたいに。
「何でだよっ！！テメー、音楽嫌いだって言ったクセに、作詞してたじゃねーかっ！！」
「……私にだって、一度引き受けた歌詞は完成させたい意地がある。だから、この作詞が終わったら、もう音楽から離れる」
無理して作っていた笑顔は、苦痛に歪んでいく。
いつもの真っ直ぐな目からは、迷いが見える。
だから、俺は思った。
(Aは、完璧に音楽から離れられないんだ)
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作者名：水神友花 | 作成日時：2018年10月17日 22時
