片想い ６２ ページ12
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Aが好きだから、いつも一緒にいた。
Aが好きだから、登校も一緒にした。
Aが好きだから______________
(こんなに、必死になれるんだな……)
それなのに俺は……何も出来てないじゃないか。
「晃牙は……Aの何処が好きなんだ？」
「あいつ、小せぇクセして歌うとカッケーし、ベースもアイツなりの世界観があるだろ？」
(……ん？)
待て待て。何の話だこれ。
「俺様はあいつの音楽に対する心構えが好きだ」
(あっ、そっちかーい！！)
Aに対する晃牙の好きと、俺の好きの意味が違い、思わずホッとする。
晃牙がAに恋愛感情を持っていたら、確実に勝ち目がないからな。
「……お前はAの事どう思ってんだよ」
「お、俺！？」
まさか、逆に俺が聞かれるなんて思ってなくて動揺してしまう。
こういう時は、正直に答えるべきか？
いやでも、こいつはAの音楽に対しての姿勢について聞いてんのかもしれねーし……
「お前何百面相してんだ？」
「ぅえ！？し、してたか！？」
「……俺様が気付いてないと思ってんのかデコ助。お前がAの事どう思ってるかなんて、とっくに知ってるからな」
「は！？」
勝手に俺の恋敵だと思っていた晃牙の想定外の言葉に、唖然とする。
まさか、こいつにまで恋心が知られているなんて思ってなかった。
「テメーうじうじしすぎなんだよ。俺様がAとこれから登校するってなった時、何で何も言わねーんだよ。女子か」
「や、あ、えーっと」
「デコ助にとってAは、ライバルがいれば簡単に諦められるようなやつなのかよ」
そう言った晃牙の目は、真っ直ぐに俺を見ていて、隙を見せれば射抜かれてしまいそうだった。
「デコ助。俺様にとってAは、妹分みてーなヤツなんだ。お前だったら、Aを大事にしてくれるとは思ってる。
でもな、そんな生半端な気持ちのままだったら、仮にテメーとAがくっついたって、俺は納得出来ねーよ」
晃牙がこんなに真剣に語るのも、Aが晃牙にとって大きな存在だからだろう。
「……晃牙。俺、覚悟決める」
「それでこそ男だ」
ライバルが現れたとしても、何があっても、Aを好きでい続ける。
誰にも渡さない。絶対に。
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作者名：水神友花 | 作成日時：2018年10月17日 22時
