迷子な私は知っている

お姉ちゃん ページ38

「……あのね、やっぱりね、奈子、とも君と離れたく無い。お友達とも離れたく無いんだ。」



目を真っ赤にしながら涙を必死に堪えてそう言ってくる奈子の姿を見て、胸が苦しくなった。




私たち子供は親の事情によって沢山のことが左右される。


転勤だって、その一つ。





私だって、せっかく私立中の受験をして合格して通い出してたのに少ししか入れなかったもの。


親のせいで、仲良くしていた友達とも別れなきゃ行けないのに、私たちはその運命から抗えない。


仕方なく、うん、って頷くだけ。






そうだよね、やっぱり奈子にとってはすごく寂しいんだよね。


私だってこんなに苦しいのに。



仕方ない、で割り切れるわけがない。

でも、そうしないとやってけないの。





そんな私の少し嘘も入った思いをなるべくプラスな言葉を選んで伝えるよう心がける。




「…そうだよね、まだ沢山いろんなことやりたかったよね…。


確かにさ、中々今のお友達には会う回数減っちゃうかもだけど、奈子ならフランスに行っても新しいお友達できると思うよ？


奈子は、明るいしみんなに優しいから仲良くしてくれる子沢山いるでしょ？




それに、私たちはフランスに行っていろんな事を学べるんだよ。


他の子たちは中々できない経験でしょ？


それをできて逆にラッキーって思えばいいんだよ。」







私だって、こう言うこと少しは思いこもうとしてるけど、無理だもん。


やっぱり恋しいんだって…。





でも、姉として、奈子を元気付けるためにしっかりしなきゃだから。

自分の苦悩を隠すように必死になって表情を作った。




私の話を聞き終えたら、奈子の涙の雨も少しずつ止み、虹がかかったように最後は素敵な笑顔を見せてくれたの。




「…そっか、そうだよね！！

新しいお友達も出来るんだもんね、！

なんか少し楽しみになってきた！
お話聞いてくれてありがとう！！」


心が綺麗だなぁ、素直にお礼も言えて、私の考えもしっかり聞いてくれて。


…なぁんて、少し思ったり。





「ありがとう！もうそろそろホテル出なきゃだから、私トイレ行ってくるね！！」


そう言って私の部屋のドアをパタン、と閉めた奈子。






私も荷物忘れが無いか最終確認して、身支度整えなきゃなぁ、とか思い始めた。

じゃあ、また→←奈子

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