誘拐：40 ページ47
いや、俺達、というのは少し異なるかもしれない。迎えられているのはともかく、話があるとしたら俺だけだろう。
少しだけ開いているドアを、俺一人が通れる分だけ押し、体を滑り込ませる。
自分の目前で閉められたドアに驚き、廊下側から奴らの抗議の声とドアを叩く音が聞こえるが、ドア越しに「10分でいい、静かに待ってろ」と言うと大人しくなった。
こちら側のただならぬ雰囲気を感じとったのだろう。
十中八九聞き耳をたてているだろうが、まあいい。
この空間に邪魔がなければ、それで。
……さて。
本題に入るとしよう。
お前がいるのはわかってるんだぜ、なんて使い古された野暮なことは言わない。
代わりに俺は、普通に、ごく普通に。
そのへんの道で親しい知り合いにでも会ったかのように、軽く手を上げてこう言った。
「……よぉ。久しぶりだな」
それに対する応えはないが、俺は構わず続ける。
「正直驚いたぜ。
俺に恨みのある奴なんかごまんといるが、まさかお前がAに協力して動くとはな……
見た目によらず意外と行動派じゃねぇか。
いや、感情的って言った方が正しいのか？
まぁ、どんな経緯でコイツと知り合ったかなんてしらねぇけど」
言いながらゆっくりと歩を進めると、ソファで眠るAの足元に腰掛けているソイツは、
「……意外、とは心外ですね」
とぽつりと呟いた。
「どうせ貴方は、途中から気付いていたんでしょう。
いつ頃からですか？」
「ふはっ、残念ながら確信したのはついさっきだよ。協力者がいるのはわかっていたんだがな。
いくらAと言えど女１人で出来ることには限りがあんだろ？例えば、俺をここまで運んでくるとか、出かける間の監視とか。
協力者を思い付く限りリストアップしてみたりもしたが、お前の名前にたどり着いても絶対とは言いきれなかった。
大したもんだぜ？この俺を４日間も出し抜き続けたんだからな」
「貴方の方こそ、大した自信じゃないですか。自己評価が高いっていうんですかね？
まぁ、人を欺いて隠れるのが僕のスタイルですから。
頑張れば最後までバレずに行けると思ったんですけど。最後の最後にバレちゃったようで、非常に残念です。
ちなみに参考までに、ですが、どうして僕だとわかったのか、聞かせてもらえますか？」
「ああ、簡単な話だ。
気配を消して俺を欺き続けることが出来る人間なんで、お前くらいなんだよ
……黒子テツヤ」
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Mae(プロフ) - かぼちゃポンタさん» コメントありがとうございます!!メインの２人以外にも結構時間を割いているので、そんな風に黒子の活躍(？)を見ていただけて嬉しいです笑。レス遅くなってすみませんでした！ (2016年8月30日 16時) (
レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃポンタ(プロフ) - 黒子の締めで笑いました、はい！2見てきます！！ (2016年7月26日 14時) (レス) id: b325383cfb (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - スピカ@しののんとmarvelousへの旅さん» 伏線ともいえない伏線もどきは一応張っていたのですが、やっぱりわかりにくかったですよね……すいません！黒子のほかにも謎はたくさん残してあるので、また推理しながら楽しんでいただけたなら幸いです。コメントありがとうございます！！ (2016年3月30日 20時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ@しののんとmarvelousへの旅(プロフ) - まさかの、手伝いが、黒子だったとは、、、 驚きのあまり、十秒間口にポカーンてなってました笑 今まで分からなかったところがわかって、すっきりはしたけど、続きを読むのが楽しみです。 本当黒子とか思いませんでした (2016年3月30日 18時) (レス) id: 5f4212bb8d (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 狐サマさん» 長いこと引っ張ってきた伏線がやっと表に出たので、私自身もホッとしてます笑。花宮はいい意味で期待を裏切ってくれる存在だと思ってるので、読者様に対してもそう在れたのなら幸いです。コメントありがとうございます！ (2016年1月28日 22時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mae | 作成日時：2015年5月12日 22時
