検索窓
今日:26 hit、昨日:3 hit、合計:87,349 hit

誘拐:12 ページ14

翌朝。

Aは部屋に朝飯・昼飯をおいていくと、夕方まで帰らないと言って出ていった。
俺がほぼ1日眠っていたとすると今日は日曜日のはずだが、Aは昨日と同じく制服を着ていた。

わざわざご丁寧に家(?)を空けることを伝えていったわけだが、残念ながら俺には今この足枷を外す術がない。この部屋の中なら自由に動くことができるが、せいぜいそのくらいだ。

……が、ここで大人しく殺されるのを待っているような俺じゃない。そう簡単に言いなりになってたまるかよ。

俺は「悪童」。

騙すのは俺の専売特許だ。



ヒトを騙すには、下準備が必要不可欠。
布石を仕込み、仕掛を幾重にも張り巡らせ、悟らせないように追い詰めてからが本番。

……さて、この部屋から一歩も動けない状況で、何ができるか。

セオリー通りだが、部屋の探索からだろう。


もちろん、盗聴器や隠しカメラがないことを確認してからの話だが。(ちなみに本棚の景と机の下、ソファの隙間に一個ずつあったから全部窓の外に捨てた。)















まず最初に見るべきは、やはり脱出口ともなる場所、つまりドアと窓だ。

ドアには鍵が掛かっていて、ノブをひねるとガチャガチャと音がする。
鍵穴はついていないし、内側に開くドアだから壊して開けることは不可能だ。

〈スッ〉


「……あ?」



今、ドアの前を横切るような影が一瞬、ドアと床の隙間に映った気がした……?

思わず耳をドアに押し付けてみるが、人の気配はそれきり無い。

頭の中にそのことを留めつつ、ひとまずドアを離れ窓の方に向かった。









外側に張り出た窓と、それを覆う太い格子。人が通れそうな隙間はない。
金具を釘で固定して後付けした格子のようだ。ドライバーか何かがあったら外せるかもしれねぇ。

窓の外に見えるのは、鬱蒼と生えた木々。どこかの林の中に建っているのか。
地面との距離はそう遠くなく、この部屋が2階にあることがわかる。近くに飛び移れそうな木はないが、土は柔らかそうで、飛び降りれなくはない。
人の入ったような形跡はねぇ、助けを求めることは難しいか。




ある程度調べあげ、窓から離れようとした時、緑の中にひっそりと隠れたように存在するオレンジが目に入った。


あれは、……鬼灯?何であんなところに一つだけ……。


家にも、母親が育てている鉢があったはずだ。
花言葉……なんて柄じゃねぇな。


なんとなくムカついたから、それきり目に入らないように背を向けた。

誘拐:13→←追う者[2]



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (266 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
365人がお気に入り
設定タグ:黒バス , 花宮
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Mae(プロフ) - かぼちゃポンタさん» コメントありがとうございます!!メインの2人以外にも結構時間を割いているので、そんな風に黒子の活躍(?)を見ていただけて嬉しいです笑。レス遅くなってすみませんでした! (2016年8月30日 16時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃポンタ(プロフ) - 黒子の締めで笑いました、はい!2見てきます!! (2016年7月26日 14時) (レス) id: b325383cfb (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - スピカ@しののんとmarvelousへの旅さん» 伏線ともいえない伏線もどきは一応張っていたのですが、やっぱりわかりにくかったですよね……すいません!黒子のほかにも謎はたくさん残してあるので、また推理しながら楽しんでいただけたなら幸いです。コメントありがとうございます!! (2016年3月30日 20時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ@しののんとmarvelousへの旅(プロフ) - まさかの、手伝いが、黒子だったとは、、、 驚きのあまり、十秒間口にポカーンてなってました笑 今まで分からなかったところがわかって、すっきりはしたけど、続きを読むのが楽しみです。 本当黒子とか思いませんでした (2016年3月30日 18時) (レス) id: 5f4212bb8d (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 狐サマさん» 長いこと引っ張ってきた伏線がやっと表に出たので、私自身もホッとしてます笑。花宮はいい意味で期待を裏切ってくれる存在だと思ってるので、読者様に対してもそう在れたのなら幸いです。コメントありがとうございます! (2016年1月28日 22時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Mae | 作成日時:2015年5月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。