誘拐:12 ページ14
翌朝。
Aは部屋に朝飯・昼飯をおいていくと、夕方まで帰らないと言って出ていった。
俺がほぼ1日眠っていたとすると今日は日曜日のはずだが、Aは昨日と同じく制服を着ていた。
わざわざご丁寧に家(?)を空けることを伝えていったわけだが、残念ながら俺には今この足枷を外す術がない。この部屋の中なら自由に動くことができるが、せいぜいそのくらいだ。
……が、ここで大人しく殺されるのを待っているような俺じゃない。そう簡単に言いなりになってたまるかよ。
俺は「悪童」。
騙すのは俺の専売特許だ。
ヒトを騙すには、下準備が必要不可欠。
布石を仕込み、仕掛を幾重にも張り巡らせ、悟らせないように追い詰めてからが本番。
……さて、この部屋から一歩も動けない状況で、何ができるか。
セオリー通りだが、部屋の探索からだろう。
もちろん、盗聴器や隠しカメラがないことを確認してからの話だが。(ちなみに本棚の景と机の下、ソファの隙間に一個ずつあったから全部窓の外に捨てた。)
まず最初に見るべきは、やはり脱出口ともなる場所、つまりドアと窓だ。
ドアには鍵が掛かっていて、ノブをひねるとガチャガチャと音がする。
鍵穴はついていないし、内側に開くドアだから壊して開けることは不可能だ。
〈スッ〉
「……あ?」
今、ドアの前を横切るような影が一瞬、ドアと床の隙間に映った気がした……?
思わず耳をドアに押し付けてみるが、人の気配はそれきり無い。
頭の中にそのことを留めつつ、ひとまずドアを離れ窓の方に向かった。
外側に張り出た窓と、それを覆う太い格子。人が通れそうな隙間はない。
金具を釘で固定して後付けした格子のようだ。ドライバーか何かがあったら外せるかもしれねぇ。
窓の外に見えるのは、鬱蒼と生えた木々。どこかの林の中に建っているのか。
地面との距離はそう遠くなく、この部屋が2階にあることがわかる。近くに飛び移れそうな木はないが、土は柔らかそうで、飛び降りれなくはない。
人の入ったような形跡はねぇ、助けを求めることは難しいか。
ある程度調べあげ、窓から離れようとした時、緑の中にひっそりと隠れたように存在するオレンジが目に入った。
あれは、……鬼灯?何であんなところに一つだけ……。
家にも、母親が育てている鉢があったはずだ。
花言葉……なんて柄じゃねぇな。
なんとなくムカついたから、それきり目に入らないように背を向けた。
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Mae(プロフ) - かぼちゃポンタさん» コメントありがとうございます!!メインの2人以外にも結構時間を割いているので、そんな風に黒子の活躍(?)を見ていただけて嬉しいです笑。レス遅くなってすみませんでした! (2016年8月30日 16時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃポンタ(プロフ) - 黒子の締めで笑いました、はい!2見てきます!! (2016年7月26日 14時) (レス) id: b325383cfb (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - スピカ@しののんとmarvelousへの旅さん» 伏線ともいえない伏線もどきは一応張っていたのですが、やっぱりわかりにくかったですよね……すいません!黒子のほかにも謎はたくさん残してあるので、また推理しながら楽しんでいただけたなら幸いです。コメントありがとうございます!! (2016年3月30日 20時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ@しののんとmarvelousへの旅(プロフ) - まさかの、手伝いが、黒子だったとは、、、 驚きのあまり、十秒間口にポカーンてなってました笑 今まで分からなかったところがわかって、すっきりはしたけど、続きを読むのが楽しみです。 本当黒子とか思いませんでした (2016年3月30日 18時) (レス) id: 5f4212bb8d (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 狐サマさん» 長いこと引っ張ってきた伏線がやっと表に出たので、私自身もホッとしてます笑。花宮はいい意味で期待を裏切ってくれる存在だと思ってるので、読者様に対してもそう在れたのなら幸いです。コメントありがとうございます! (2016年1月28日 22時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2015年5月12日 22時