誘拐:7 ページ8
『夕飯。持ってきたから入るわよ』ガチャッ
Aが出ていってから一時間半ほどが経過していた。
もっともこの部屋には時計がないから、憶測ではあるが。
小さなテーブルに並んだのは、想像していたよりも豪華なものだった。
どうやら料理を練習したというのは本当のようで、腕は確かだ。
ただ、俺が食っている間ニヤニヤし続けているAに苛ついたから感想は言う気にならなかったが。
ところで食っている最中に気付いたのだが、
「おい、手錠外せよ。食いづれぇんだけど」
アホみたいに引っ掛けたりはしないが、邪魔でしょうがない。
あと金属音がうるせぇ。
Aは俺の目をじっとみつめる。
そのまま数秒睨み合っていたが、興味なさげな顔で『ファイト。』とだけ言った。
このっ……くそアマ……!
『……なに。その文句ありげな顔は。
そんなに食べ辛いんなら、食べさせてあげるわよ』
「……は?」
Aは俺の持っていた箸を速攻でひったくると、煮物の小鉢から一際デカい芋をぶっ刺し、俺の口に無理矢理突っ込んだ。
「あ"ぁっっづッ!!てんめ、むがっ……!」
『食べながら喋らないでよ。汚いでしょ。』
これがまた熱々だった。口の中でホクホクの芋の熱気が暴れ回る。
信じらんねぇこの女。
やっとそれを呑み込んだところで、俺はAを怒鳴りつけた。
「ふざっけんなテメェ!舌火傷しただろうが!?」
『あんたが食べさせろって言ったんでしょ』
「言ってねぇよバァカ!つかこの芋だけクソ熱かったぞ!わざとだろ!?」
『知らないわ。』
心からどうでもいい、という顔でAが箸を置いた。
ぜってぇわざとだ、間違いなく計画的犯行だ。
てめぇ口角上がってんだよ。
俺はこれ以上Aに怪我させられるのを防ぐため、できるだけ早く手を動かした。
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Mae(プロフ) - かぼちゃポンタさん» コメントありがとうございます!!メインの2人以外にも結構時間を割いているので、そんな風に黒子の活躍(?)を見ていただけて嬉しいです笑。レス遅くなってすみませんでした! (2016年8月30日 16時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃポンタ(プロフ) - 黒子の締めで笑いました、はい!2見てきます!! (2016年7月26日 14時) (レス) id: b325383cfb (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - スピカ@しののんとmarvelousへの旅さん» 伏線ともいえない伏線もどきは一応張っていたのですが、やっぱりわかりにくかったですよね……すいません!黒子のほかにも謎はたくさん残してあるので、また推理しながら楽しんでいただけたなら幸いです。コメントありがとうございます!! (2016年3月30日 20時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ@しののんとmarvelousへの旅(プロフ) - まさかの、手伝いが、黒子だったとは、、、 驚きのあまり、十秒間口にポカーンてなってました笑 今まで分からなかったところがわかって、すっきりはしたけど、続きを読むのが楽しみです。 本当黒子とか思いませんでした (2016年3月30日 18時) (レス) id: 5f4212bb8d (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 狐サマさん» 長いこと引っ張ってきた伏線がやっと表に出たので、私自身もホッとしてます笑。花宮はいい意味で期待を裏切ってくれる存在だと思ってるので、読者様に対してもそう在れたのなら幸いです。コメントありがとうございます! (2016年1月28日 22時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2015年5月12日 22時