控えめに仕事させて.12【番外編】 ページ12
長い廊下を小走りで走り抜ける。だが、ドレスが邪魔してうまく走れない。
事は数分前にさかのぼる。
『なにか困ったことや、欠陥品、不足している物はありますか?』
「えっと、小麦粉とそれから…卵が足りません」
Aは「分かりました」と言うと小麦粉と卵のストックがある家庭科室。ではなく、家庭科室の鍵が置いてある職員室へ走った。
そして現在に至る。
この廊下を抜ければすぐ職員室なのだが、ひとが混雑していて通れそうにない。どうしようか、と頭を悩ませていると優しく二回肩をたたかれた。
振り返るとそこには少し癖のある紺色の髪をした人当たりの良さそうな美少年がいた。
『えっと、なにか…?』
「いや、さっきのミスコンを見ていてね。綺麗だなぁって思ってさ。あ、自己紹介が遅れたね。俺は立海大附属男子硬式テニス部部長、幸村精市。よろしくね?」
『ああ、ブンちゃんの…。私はこの四天宝寺中の生徒会長、山瀬Aです。ブンちゃんとは幼馴染です。こちらこそよろしくお願いしますね』
幸村と軽く喋っていると人集りがだんだんとなくなっていた。
「そう言えば、どうしてここに?」
『食材がわずかになった屋台のためにストックを持って行くんです。』
幸村は手伝うと微笑んだ。Aも困ったように笑いありがとうと幸村の良心に心から感謝する。
そうして無事家庭科室の鍵を借り、家庭科室から小麦粉と卵を入手できた。
それから特に会話という会話もなく人通りの少ない階段を降りると二人の上靴の足音が響く。話しかけた方がいいのかととまっどっていたAに幸村は唐突に話しかける。
「ねぇ、もしも俺がAに惚れたって言ったらどうする?」
『うん?どうしてそうなった。と言いたいところだけど…普通にごめんなさいかな?まだ知り合って関係性は薄いし…で?なんでそうなった』
「いや、一目惚れしたから?」
『いや、じゃないよ。今日一番のすごい爆弾発言したよ?私も思わず言葉遣いが戻っちゃったし』
それから階段を降り終わるまで彼のアプローチという名の遠回しの「付き合って」にAは無視を貫いていた。
そして何とか目的地の頼まれていた屋台までたどり着き、ストックを渡す事ができた。これで幸村とお別れできると思っていたが、そううまく事はいかない。
どうしたものかと悩んでいたAの元に
「Aどこに行ってたんだ心配したろ!…ってあれ?幸村君?」
『助けてブンちゃん…』
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山下後輩(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» 原哲也ですか!!高校生組でも出せそうですね!!でもちょっと笑ってしまいました。小説は厳しいですがキリがついたら番外編で出したいと思いますね! (2017年11月4日 20時) (レス) id: d71824c5f5 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年11月4日 19時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
マオ(プロフ) - 有馬さん» ありがとうございます!家庭事情により更新がものすごく遅くなりますが頑張っていきたいと思います!! (2017年6月6日 0時) (レス) id: 9f003b2981 (このIDを非表示/違反報告)
有馬 - すっごい面白いです!!!更新がんばってくださいね^ - ^ (2017年5月20日 22時) (レス) id: a61dc9da8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山下後輩(マオ) x他1人 | 作成日時:2017年4月5日 20時