疲労度MAX【テニプリ】

控えめに仕事させて.11【番外編】 ページ11

『いや、ブンちゃん上手いね!?ちょっとというかすごく驚いた』

「どう?天才的ぃ?」

『うん、カッコいいよ』

おぼつかない足取りのAに対し、幼馴染のブン太はしっかりとステップを踏んでいる。踊り始めてすぐにAはブン太にリードされていた。

綺麗な音楽が流れるグラウンド場。ドレスを着た女の子と制服を着ている男の子が踊る。こんな奇妙なものはないと思う。

『ねぇ、いつ終わるのかな?』

「まぁもうそろそろ終わんじゃね?」

『うーん…ブンちゃんとならまだいいかもなんて』

至近距離で、美しく着飾った幼馴染にこんな言葉を言われて思わず固まるブン太。

自然と口から出た言葉に真意はないとわかってはいるものブン太は自分の頬が赤くなるのを自覚していた。
そしてAも知ってか知らずか悪戯っぽく目を細め微笑む。

彼女は確かに顔立ちは良い。しかし初対面の人にとってはただそれだけ。だが関わると分かるその精神、堅実さ、ひたむきな笑顔。それにいつしか心惹かれている。

会場近くにいる、既にAに好意を抱いている男は、その微笑みに背筋を伸ばし耳まで赤くした。

そうしてすぐに時は過ぎ、踊りは終わり結果発表に移る。パートナーのブン太はいつのまにか舞台から降りていた。

渡辺から優勝者の名前が出る

「優勝者は___山瀬Aだぁ!!」

せいぜい二、三位だと予想していたので途端に焦りだすA。審査員をしていた体育教師から賞状や盾が贈られる。

「なにか一言!!」
と言われ

『えっと、はい。嬉しいです。』
言葉がパッと思い浮かばずそっと目を逸らした。

こうしてミスコンは終わり、ミス女装が始まる。Aはまだ回っていないところがあったので引き続き見廻りをしながらブン太と歩く。

しいて変わっとところといえば、「今日一日はそのドレスでいろ」と言われ制服ではなくドレスでいること。そして先程より視線が自分のもとに集まっているということだ。

『そう言えば、跡部と手塚君が来るって言ってたけど、他にブンちゃんの友達とか来るって言ってた?』

「確か、幸村君は来るって言ってたっけ…あんまし覚えてない。それよりも跡部と手塚が来る事に驚きだぜ」

『うん、同じ生徒会長として交流があるから、あっ立海の生徒会長もだよ?』

「へぇー」

その視線を特に本人達は気にせず、いつもと同じ様な会話をして食べ物を食べる。

ちなみに今、Aが手に持っているのはアツアツのたこ焼き。彼女の好物だ。

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