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首領は私を直で家に帰してくれた。
ドレスを掴んでコケないように降りると、首領は思い出したように口を開けた。


「Aくん、綺麗だよ」
『……』


その言葉を聞いて私は振り返った。
彼は目元を細めて笑い、反応を見て楽しそうに口元が緩んでいた。


『ありがと。鴎外』

「君が戻りたければいつでも秘書は相手いるからね」
『それは結構です。さようなら首領』


私はツンと振り返って家に真っ直ぐ帰った。
そんな後ろ姿を首領は笑って見つめた。


「…またねAくん」


____
__
_


深夜12時。
私は治の家の扉を開けた。
鍵は掛かっておらず、簡単に開いた。


『ただいまぁ』


そう声に出すとパッ!と治が壁から顔を出した。
部屋は明るく、丁度テレビを見ていたのか雑音が部屋内に聞こえた。


「……」
『もうクタクタ…美味しいもの食べれたけど…治?』


ヒールを脱いで家の中にはいるけど、いつものあれが無い。
こういうパーティ後は抱きしめてくれるのに。

不思議に思って首を傾げて前を見ると、治はじーっと壁から動いてなかった。


「………」
『お、治?ハグは?』

「はぁ…」


私がそう聞くと、目の前でため息を疲れてしまった。
彼は顔を俯き、表情が読み取れない。
__嫌な感情が頭によぎった。


(いやな事し過ぎた?)


治は毎回パーティに行くことを止めてくれる。
でも、もう呆れられた?
__怖い。

自然と心臓が痛くなり、呼吸が乱れた。


(なんて言い訳しよう)


貴方に、貴方に捨てられたくないっ。


(どうして私こんなことを…)


ずっとずっと治は構ってくれてると思ってた。
一緒に生きてきて恋人で優しいから。
沢山甘えれるのに…。


(迷惑だと突き放されたら…嫌だっ…)


「A」


ふと、名前を呼ばれて顔を上げた。
いつの間にか焦って俯いていた。


『ち、違うの…私…』
「……はぁ……」

『治、私を、捨てないで?』


(私には貴方しか居ないの。捨てないで。)

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シグマ(プロフ) - 黒川かぐやさん» うふふふ、嬉しいです!ありがとうございます!まじ共依存しか勝たん★ (8月27日 20時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
黒川かぐや(プロフ) - あの、好きです……えっと、その👉👈ほんとにこの関係が好きで、この作品沼すぎて、何回も見直しちゃってるくらいです……共依存しか勝たん🥺👊 (8月27日 18時) (レス) id: 5ae6456499 (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - 橘スミレさん» ふふふ、ありがとうございます! (8月27日 3時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
橘スミレ(プロフ) - これぞ共依存ですね。最高です。 (8月27日 0時) (レス) @page44 id: 4832f2335e (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - 眠いちゃんさん» おおっ、いいところに気づくねぇ!(ありがとうございます!) (5月13日 19時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2022年10月23日 19時

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