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「ま、任務については本当に極秘だ。
だから夜になるまで場所は伏せさせてもらうぜ」

『え』

「書類は机の上に置いといたからな」


中原はそう言ってへやから出ていった。
思わずため息が漏れ、その任務の書類を見た。

…これはどこかのパーティでその主催者の親がターゲットだ。
その親は武器の横流しをしてお金儲けをして逃げまくっている。
その息子をどうにか気を引いて近づいて、親を殺せ…という任務だ。


(外は苦手なんよなぁ)


はぁ…とため息をつき、思わずケータイに手をかけた
そこには数十件のメール履歴があった。
全て見返して言葉を打った。


〖今すぐ会いたい〗


短くそう書いた。
数十秒画面を見ていると直ぐに既読がついた。


【私が迎えに行くよ。部屋で待っててくれ】


そうすぐに帰ってきた。
どこかほっとすると共に、なんだか深くため息をついた。


(早く、会いたい…)


__
_


しばらくするとドアからノック音が聞こえた。
足を向け扉を開けると、そこには愛おしい人が立っていた。


「待たせたね」


彼はサングラスをズラし、優しい茶色の瞳が私に向いていた。
その様子を見て先程まで焦っていた心はどこか収まった。


『大丈夫。このままお昼にしよう』
「嗚呼、個室がある店に行こうか」


そう言って治は私に手を差し出してきた。
大きくて包帯が少し見える暖かい手。
私は受けとって、共に足を進めた。


(……仕事、どうしよう)


お店に向かっている途中、そんなことを考えた。


_中原とパートナーなんてどう伝えよう?


絶対に怒る。
と言うか怒って欲しい。

私は治しか嫌だ。
あなたのパートナーなの。


(分かってる)


私がものすごく幼稚なこと。
わざわざ私を縛るように言って欲しい。

嫉妬して、私たちもっと……深く愛したい。


「A?」
『!?』


ふと、名前を呼ばれて驚いてしまった。
顔を上げると治が不安そうに私を見つめていた。
周りの様子を見るといつの間にか店の前だった。


『ご、ごめんね。ぼーっとしてて』
「…いいんだ。とにかく大切な話があるんだろう?」

『うん』


(やっぱりすぐ察してくれる…嬉しい)


私は少し微笑んでから治とお店に入った。

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シグマ(プロフ) - 黒川かぐやさん» うふふふ、嬉しいです!ありがとうございます!まじ共依存しか勝たん★ (8月27日 20時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
黒川かぐや(プロフ) - あの、好きです……えっと、その👉👈ほんとにこの関係が好きで、この作品沼すぎて、何回も見直しちゃってるくらいです……共依存しか勝たん🥺👊 (8月27日 18時) (レス) id: 5ae6456499 (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - 橘スミレさん» ふふふ、ありがとうございます! (8月27日 3時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
橘スミレ(プロフ) - これぞ共依存ですね。最高です。 (8月27日 0時) (レス) @page44 id: 4832f2335e (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - 眠いちゃんさん» おおっ、いいところに気づくねぇ!(ありがとうございます!) (5月13日 19時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2022年10月23日 19時

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