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「私はここの首領だ。皆が私に付いてくる。
……私はそんな皆を守らねばならない。
Qがどれだけ害を出さないと言ってもそれを証明できるものはあるかい?」
「………」
「Qには辛い思いをさせてるのは知っているよ。
ただこれは規則だ。
救いたくても、私では救えないんだ」
『!』
彼は私を見てそう言った気がした。
目が離せず、私は目を見つめ返した。
…そんな瞳を向けられても、私に、何ができると言うんですか?
ただの凡人がどう、救うんですか?
私は自然と必死に考えた。
ここから、彼を救える方法を。
やっと人を信頼出来るようになって、牢から外に出たいと願った。
それなのに、唯一信頼された私はそれに手伝ってあげられない。
……Q様の願うことが叶わない。
(私じゃ、なにも…頭も良くない私が一体なにを…?)
分からない。
ここからどうしたら、どうしたら___
〈そう言えばいつからだっただろう?〉
〖……〗
私がお姉様に追いつけない、才能なしと思った日は。
今までずっと妹としてお姉様に追いつけるように走った。
お姉様を見て、喋れるようになったのも立ち上がったのも同じようについていけていた。
輝いているお姉様の隣で一緒に笑いたかった。
でも、幼稚園の頃から、しんどくなった。
悠長に話す姉の言葉を真似出来なくなった。
50mの速さが遅くなった。
…たくさん努力しても、自分に勝つことは出来なかった。
その日から対応の格差ができた。
…でも、私はまだ諦めきれなかった。
勉強にハマリ、スポーツにハマり、全てに興味を持ってやり続けた。
私の才能は努力できる才能だったから。
お姉様に才能があったから、私にもこの才能は大切なものだった。
……でも、実らない。
実力主義のマフィアでは、努力の才能は何の役にも立たない。
冷たいこの世界に嫌気がさした時、私はお姉様と区別付けた。
……お姉様は特別な才能の持ち主だから、私には叶わない。。
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2023年10月19日 16時