絶対命令【文スト】 (ページ37)

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2人がドアから出ると、ふとある男性がそばに寄ってきた。
その男性は首元だけ包帯をしていた。

「よぉ、太宰」
「ゲッ……中也…」

出会ったのは中原中也だった。
彼女が目を丸くすると、彼は彼女の方を向いた。

「A、体は大丈夫か？2日も寝てたんだろ？」

彼はすぐに彼女の体の心配をしてくれた。
隣で太宰治が文句を言っていて、彼女は彼の首元を見ては口を噤んでいた。

『……』
「ん？嗚呼、これか？これはちょっと血が出てな…」

彼は首の傷は誰かのものと言葉を続けた。
…彼女はちゃんと覚えてる。
首を少し切ったこと。

すると彼女は綺麗に頭を下げた。

『私の傷ですね。ごめんなさい』

耳がペコッと下がった。
黒色の耳が彼の前で深く下がると、彼は頭を撫でた。
そのまま下げ続けていると、その間ずっと撫でられた。

『……』
「……」

(…やっぱりなでる人だ…)

前から撫でたそうにしてたのはやっぱりホントだった。
ふと、彼は耳の付け根に触れた。
奥の方に少し指先が触れた時、ぴくっ_と大きく体が震えた。

『や…』

彼女は彼から距離を取った。
_1瞬ぶわぁ…っと体が暑くなり、驚いた。
すると彼は目を丸くして眉を寄せた。

「あ、すまねぇ」

『……いえ。
あの、撫でたいのなら傷つけてしまった代償にいつでも触れていいですよ？』

「本当か！」

『はい。
ただ外は音がうるさいので部屋の中でしてくださいね』

そう会話していると彼の気分は右肩上がりなのか、不仲の太宰治が居るにも関わらず素直に笑ってくれた。
その顔を見た彼は右肩下がりの気分なのか、顔を歪めて、ため息をついていた。

(本当に真反対だなぁ)

そして2人はご飯を食べにその場を去った。
中原中也は仕事が忙しいみたいで「本当は一緒に食べたかったんだがなぁ」と悔しそうに話してくれた。

……私を気にしてくれる人が居るなんて嬉しいな。

彼女は耳嬉しそうに立てた。

「あーあ、中也が羨ましいよ。
キツネの耳なんて触る機会ないからね」

『太宰様は異能力無効化は仕方ないです。』

そう話しつつ、2人はマフィアから出た。。