絶対命令【文スト】 (ページ17)

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「エリスちゃん、隠れても困るだろう？」

ふと、森鴎外はそう言った。
エリス-と呼ばれた女の子は森鴎外の後ろから彼女を怪しむように見た。

「…あの子、真っ暗な目で怖いわ！」
『目…』

彼女は目を触れた。
そして分かりやすく耳が垂れ下がり、しっぽも地面にﾍﾟﾀﾝ_と着いていた。

「「「……」」」

『…気に触るのならくり抜きます』
「そ、そんなことしなくていいわ！？」

『そうですか？』

彼女は少し悩み始めた。
__気に入られなくちゃならない。
売られたこの場で上手くやって行くには、使えるということを示さなくちゃならない。

『……』

ふと、彼女はなにか考えたのか尾崎紅葉の後ろに隠れた。
ぎゅっと着物を握り、目線を落とした。
そんな彼女を尾崎紅葉は目線を向けた。

「どうしたんじゃ？」
『…仲良くなる方法が分からない。助けて』

「うむ、なら私にしておくか」

『！？』

ふと、尾崎紅葉がそう言うと彼女を軽々と持ち上げた。
視界がｸﾞﾗﾘ_と変わり、反射的に尾崎紅葉に抱きついた。
耳はピーンと立ち、驚いているようだった。

『…き、急にやめてください』
「ふふ、すまなかったのぉ」

2人の距離は近く、結構仲良くなっていた。
エリスの興味が彼女にむくと共に、尾崎紅葉は森鴎外に向かって口を開けた。

「鴎外が考えてるようなことは難しかったようじゃのぉ」
「エリスちゃんとツーショット…」

森鴎外はエリスと写真を撮りたかっただけだった。
でも、不気味な目と一切動かない表情に恐れをなしてしまった。
すると尾崎紅葉は彼女を抱きしめたまま、出入り口に足を進めた。

「残念じゃったなぁ。あと買った料金は経費にするぞ」
「ええ！？ひどくないかい！？」
「そうじゃなかったら鬼じゃ」

なんて会話をして部屋からサッと出た。

『いいんですか？』
「いいんじゃよ、お主は私が育てるでのぉ」

『……はい。尾崎様…』